出版社内容情報
西洋の模倣から日本の伝統の融合へ―丹下、安藤らの世界的評価を得る建築はどのように生み出されたか。
内容説明
日本人にとって「居心地のよい空間」の理想型が京都や奈良の古建築にあるとしても、そのような建物は私たちのまわりに多くはない。それは日本の建築家たちが数十年にわたって、新しい、性格の違う空間をめざしてきたからである。ル・コルビュジエが完成させた西欧近代様式の単なる模倣から、日本の伝統との融合がはかられ、丹下健三や安藤忠雄らが世界的評価を得るに到るまでの、日本の現代建築の特質と魅力をさぐる。
目次
序章 変化の原動力―日本の近現代建築
第1章 横はさみ型―一九三〇年代~五〇年代
第2章 伸び上がる屋根型―一九五〇年代末~六〇年代なかば
第3章 縦はさみ型―一九六六~七六年
第4章 屋根付き包み込み型―一九七〇年代後半~
終章 屋根付き包み込み型からの再出発―「膨らむ」と「伸び上がる」
著者等紹介
越後島研一[エチゴジマケンイチ]
1950年(昭和25年)、神奈川県に生まれる。早稲田大学理工学部を卒業後、東京大学大学院博士課程修了。工学博士。現在、東京大学工学部助手、越後島設計事務所主宰
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
36
20世紀前半にル・コルビュジエによって近代的建築が日本に取り入れられた後、それがどのように継承発展されたのかを建物の形状から考えていく。それは西欧の箱型に魅せられた建築家がまずは日本的な心地良さへと引きつけ、やがてそれだけでなく刺激を与えるような「伸び上がり」を目指していく流れと言えるだろう。個人的には主論よりもその導入、旧来の日本的建物が持つ心地良さとは西洋の壁に相当するはずの襖や障子を開け放つ空間の広さによるものであり、それがル・コルビュジエの言うドミノとの相似を示しているところが興味深かった。2015/10/03
ネムル
9
同新書『ル・コルビュジエを見る』後半でざっと描かれていた、日本建築への影響を頁を割いてまとめた本。現代建築を大まかに五つの型に分類するのは、やや強引ながらも明快で助かる。その形態の変化は、日本の気候風土に全く合わないコルビュジエがいかに模倣され、日本建築との折衷がなされていくか。それは空間が外へと逃げていく日本建築が、内部という空間を獲得していく流れなのだが、70年代以降、特に伊東豊雄なんかの解説は建築のコンテクストだけだとわかりにくい。哲学の言葉を必要としているのではなかろうか。2015/06/26
iqo720
1
建築を感覚で理解することができなかったので、 この本に出会えて一気に視野が広がった。 感じることが一番大切だと思っていたが、 理論的な解説が加わるとまた違った視点で眺められる。 現代建築の歴史を形で分類してくれているので、 非常にわかりやすい。 豊富な写真とその解説が分かりやすく読みやすい。 建築素人の私にとっては知らない世界ばかりで、 住居も含めて身近な建造物が実はすごかったりして、 街へ出るのが楽しくなりそうな予感。2008/03/24
ホンドテン
0
図書館で。鎌倉の近代美術館閉館に併せて読み始めたから、読了まで何ヶ月だという話。2016/07/31
y
0
近代建築史の再整理を試みた本。まあそうとも言えるかなって感じで、少し強引さを感じた。