内容説明
地球上に登場して四億年の歴史を有するミミズは、その分布から大陸移動の根拠を与えてくれる。また、ダーウィンの晩年の書物『ミミズと土』にあるように、ミミズは生態系の一端を担っている。著者はポーランドでの生態学調査を皮切りに、ケニア、ハワイ、モンゴル、ガラパゴス等々へ、シャベル持参で採集調査に出かけて、思いがけぬ発見をする。オーストラリアへは巨大ミミズの見学に訪れる。小さなミミズが大きく見える異色の本。
目次
第1章 庭のミミズ
第2章 動物学的にみたミミズ
第3章 ミミズの生態学
第4章 ミミズを追って
第5章 ミミズをあなどるなかれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
54
「世界の歴史のなかで、このように分化の低い動物で、このように重要な役割を演じてきた動物が、ミミズ以外にいようか」と著者は述べる。まさにこれほどミミズに相応しい言葉はないと思う。約3000種いる分類できないミミズ(本書当時)。その多様性だからこそこの地球で太古より生き続けている、あまり人の目に触れず、地中で全ての地球で生きるもののために。ミミズに感動してなりません。2022/01/19
ローレンツ🐾
26
本書発行は1996年4月。26年前になるのでまあまあ古い本。だが、ミミズに特化した生物学的な本というのはそう多くない。著者は女性の科学者だがものすごいバイタリティを持っている方でミミズの研究・調査のために世界各地を飛び回ってこられたようだ。ミミズは光合成によって生産された植物質を動物質に転換するとともに排泄物によって土壌を形成する地球上で重要かつ大事な生物。本書を読み終えて、チャールズダーウィンの書いた【ミミズと土】を読みたい気持ちがフツフツと高まった。2022/06/30
tetuneco
18
コンクリートに囲まれた、我が家の花壇にもミミズは暮らしていた。 今度会ったらお礼を言おう。2012/12/13
イノ
16
ダーウィンはミミズも研究してた。体調数ミリから数メートルまで、世界各地の島々のミミズを探していく。細かな見分け方や捕まえ方や実験内容が研究者らしく見識に溢れている。が、さすがに細かすぎて詳しすぎてそこまで興味は持てなかった2016/06/04
しんしん
9
世界各地や島などを訪問しながら現地のミミズを採取して調査していく。 インターネットもDNA調査もない時代であちこちに未同定の種が存在していて、人目に触れずに絶滅している。 土壌と生態系を支える基本の種であるミミズ。 ミミズの活動で土壌が年に1センチも盛り上げられることなど、僕たちの足元に未知で魅惑のミミズワールドが広がっていた。2016/04/12