内容説明
中国、ヴィエトナム、タイなどに隣接し、フランス、アメリカの植民地時代をも経験したラオスの歴史は、侵略と外圧に彩られている。しかし、激しいヴィエトナム戦争に巻き込まれ、王政を廃して社会主義国家となっても王族を迫害せず、仏教はもとより古来の信仰を併存するなど、穏やかな伝統を維持するラオスの人々の暮らしには、不思議とその苦闘が感じられない。微妙なバランス感覚をもって鎖国政策をとる緩衝国家の素顔を見る。
目次
序章 ラオス、タイ友好橋
第1章 不思議の国ラオス
第2章 イデオロギーのない社会主義
第3章 苦難の歴史
第4章 綱渡りの経済政策
第5章 日本人にかかわる事件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
著者は90年代初頭に駐ラオス日本大使館に勤務した外交官。ラオスの社会、政治、歴史、経済についてコンパクトに概説している。山地と高原と大河のある国土は、伝統的に政治勢力の地域割拠を生み、統一性を保つのが大変。ラオス人は穏やかだが同時に保守的で閉鎖的、先進国の人間の目からは勤労意欲や向上心がないように映る。ベトナム戦争に連動した内戦の末に成立した社会主義政権ながらも、封建時代の王族を政府の一員に迎えるラオス独特の一党独裁体制など、興味深い話が多い。外国人への警戒心が強く、外資を統制しようとする政府の姿も印象的2023/04/23
ろーじゃ
0
ラオスの国のイメージや歴史を掴むのにとても良い本です。ラオス国内で人民を指導する事に専念したカイソーンと、国際共産主義運動から独立を測ったホー・チ・ミンの姿が非常に対照的でした。 多くの日本人がラオスで事件に巻き込まれていたのは初耳で良い勉強になりました。2013/02/08
NoDurians
0
旅行の予習のために。外国のことを知ると、周りを完全に海に囲まれた日本が特殊な条件に置かれていると言うことを思い知らされる。2010/06/12
denken
0
ラオスなんてマイナーな国は,高校の教科書では3行程度しか触れられていないわけで,その状態に比すれば大変多くの知識を得たと言える。読みやすいのも良い。でも,これ読んでラオスに親近感もてるのかなあ?なんとも言えない暗い読後感なのですが。1995年の本だから中途半端に古い。2009/07/19
カネコ
0
△2009/02/18