中公新書<br> 荻生徂徠―江戸のドン・キホーテ

中公新書
荻生徂徠―江戸のドン・キホーテ

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  • サイズ 新書判/ページ数 317p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011619
  • NDC分類 121.56
  • Cコード C1210

内容説明

荻生徂徠―。名のみいたずらに高いが、著作はどのくらい読まれているか。中国の古典書を読みぬいて『論語徴』をあらわしたこの思想家は、紀元前六世紀の春秋時代に向けた歴史の眼を、十八世紀の江戸時代の現実にふりもどす。『太平策』・『政談』の時局案、ここにあり。学者はその仕事を現実に還元しなくてはならない。純粋な学問探究がいつしか同時代の問題を背負いこむ運命になった人間・荻生徂徠の生涯が、いまここによみがえる。

目次

第1章 わが隣人―徂徠
第2章 徂徠学とその未生以前
第3章 先行機、応答せよ
第4章 車を数えて車無し―メタ言語・メタ歴史
メタ貨幣
第5章 失われた礼楽を求めて―『論語徴』の世界
第6章 天と信仰と寵霊
第7章 絶対王権の夢―『太平策』と『政談』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

25
新書だが難解。17C後半~18C前半の人。儒学の講釈では食えず、芝増上寺の豆腐屋がおからを差し入れてくれていた(5頁)。朱子学の根本は理気二元論(45頁)。若き日の徂徠はなまいきだった(87頁)。おれもそうだけど、今も。格調の高い文章は、いつも体調のよいときに書かれるとはかぎらない。むしろ気力をふりしぼって書くものである(162頁)。だからこそ、読者は感動するのだろうね。徂徠は音痴だが、太宰春台は算法も音楽もよくできた(198頁)。2021/03/04

keint

6
荻生徂徠の思想を解説した本。抽象的な表現で進む章が多く読みづらかったが、最後の紙幣に関する思想は近世の成熟した江戸の経済を想像できてわかりやすかった。2019/11/08

きさらぎ

6
どうも徂徠という人物は扱いにくい。儒学のテキストを伝統的な漢文訓読法ではなく中華の言葉で読もうとした、古語を重視する読解の方法論、儒学でいうところの「道」を先王の制作した礼楽に見た、儒学的でありながら朱子学とは全く異なる、また古学とも同一ではない独自の歴史観や学問観、そして太平策や政談に見られる極めて封建的で復古主義的な政策論、それらが全て徂徠流であり、一々物議をかもすというか、検証せずにいられないような、そんなオリジナリティに原因があるかもしれないと思う。2018/07/03

isao_key

5
江戸の儒学者荻生徂徠の著書『論語徴』及び『太平策』『政談』を中心に人物を解き明かしていく。著者は徂徠が古文辞学に開眼したのは李于鱗、王世貞の古文辞運動に共鳴したのではなく、古文辞が難解をきわめたことが最初のきっかけであったという。ただ徂徠がひとと違っていたのは、李王古文辞のどこが読めないかを探りあてたことにあると述べる。徂徠の文章に対するこだわりが伺える。『太平策』『政談』は、単に思い付きの政策を述べたのではなく、具体的な国家改造案であった。貨幣のを商人の手から幕府の管理下にするための案が述べられている。2013/04/13

本命@ふまにたす

3
荻生徂徠に関して論じた新書。結構骨があり、丸山真男はもちろんのこと、マルクス論なども援用しながら著者なりの視点で荻生徂徠について論じている。2022/11/13

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