内容説明
ロンドン塔は、現在の静謐な姿の裏に、九百年に及ぶ華麗にして非惨な歴史を宿している。本書は、塔以前のローマ時代の砦から、ウィリアム征服王による築城、中世から近世への流血の時代を経て次第に世俗化してゆき、今日に到るロンドンの象徴を通覧する読物である。
目次
ロンドン塔再訪
「塔」の築城
華麗な「塔」の完成
中世動乱期の「塔」
流血の時代
「塔」の刻字
世俗化した近代の「塔」
漱石と『倫敦塔』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
12
「少なくとも、わたしが見ている空間は、すべて中世そのものであって、……」(p.18)と筆者は言う。……ええな~、ロンドン塔(´Д`) ここで、アン・ブーリンがとか、ジェーン・グレイが……って、古のひとの気配を感じそう。「……ふたりの子供の遺骸はエドワード五世とヨーク公のもので、彼らはおそらく絞殺され、その後木箱におさめられてホワイト・タワーの地下に埋葬されていたものだという。」(p.86)仏ルイ17世みたく当時のひとびとは、高貴で哀れな兄弟を想って、2人が逃げおおせた、そんな話を作ったのではないかな。2018/06/25
m
3
ジェーン・グレイやアン・ブーリンが処刑された場所として有名。ちゃんと骨も残っていたというからすごい。興味深く読んだ。2023/09/09
madhatter
2
再読。王室居城→国事犯牢獄→観光名所という変遷を辿ったロンドン塔の性質を考えれば当たり前のことだが、本書は塔の歴史を追うことで、自然に英国史を大掴みできる構成になっている。個人的には、日本では馴染みの薄いと思われる中世(王室居城の時代に当たるため、当たり前と言えば当たり前だが)にかなりウェイトを置いてあるのが良い。本書で引用されているように、塔は漱石等の著作で日本でもよく知られているので、それを足掛かりとして、英国史入門としても有効な著作ではないだろうか。2011/07/31
悸村成一
1
読了48冊め。再版10月。2021/07/04
闇夜子
1
深夜のお風呂で読む本ではない。2014/06/11