内容説明
日本でも、昭和初期に15年間施行されたことがあるとはいえ、陪審裁判への不安や抵抗感は、未だ根強いといわざるを得ない。しかし、いまや、市民の司法参加という観点から、是非論を超えた陪審制度の検討が必要ではないだろうか。本書は日本の現行裁判制度の問題点を探りつつ、アメリカの陪審裁判の実際と比較し、さらに、かつて日本の陪審法がなぜ定着できなかったのかを、具体的な資料によって跡づけようとするものである。
目次
第1章 日本の裁判はうまくいっているか
第2章 アメリカの陪審裁判はうまくいっているか
第3章 陪審裁判はどのようにおこなわれるか―マサチューセッツ州刑事法廷の三日間
第4章 日本の陪審制度はなぜ根づかなかったか
第5章 陪審に何が可能か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
13
1990年刊行。昭和初期に日本でも陪審裁判が行われていたことを初めて知った。アメリカの裁判の様子もかなり詳しく書かれていて、比較材料になる。やはり国民性からいっても日本人はこの制度向きではないような気がする。著者は推進派のようだけれど。2013/08/23
新橋九段
1
裁判員制度が登場するずっと前の議論だが、今の役にも立つ。2019/06/07
アルゴン
1
★★★★ 裁判員制度ができるかなり前に書かれた本。陪審制度の意義が読むにつれてわかる構成。教育的な意味では今の裁判員裁判でいいんだろうけど、この頃の死刑求刑事件を見ていると、全員一致は要件として欲しいよなあと思ってみたり。2010/11/26
kinonis
0
裁判員制度の発案すらされてなかった時?の本。まだまだ司法は国民とは遠い感じがする。実際、今となっては様々な懸念はそこまで大きな混乱を産んではいない。2011/11/14