内容説明
1983年10月17日、レイモン・アロンは名声の頂点にあって逝去した。しかし、その名声の意味する「透徹した知性」がアロンの素顔であったのだろうか。アロンは生涯学問と政治の関係、歴史の意味、知識人の役割などを考察し続けたが、彼にそうなさせたのは何だったのか。本書は、現代フランス思想史を背景に、アラン、サルトルなどと対比しながら、学者=ジャーナリスト、アロンの思考の足跡を辿り、今日の思想的課題を考える。
目次
第1章 アロン以前のアロン
第2章 ドイツ留学
第3章 アロンの歴史認識
第4章 マックス・ヴェーバー体験
第5章 サルトルという両義的存在
第6章 戦後思想のパラダイム転換
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
3
後半はよくまとめられている良書●「アロンはマルクス主義と対決し批判しつづけたといわれているが、アロンの論争的な諸著作をよく読んでみると、奇妙なことに主要な目標はマルクスではない…メルロ・ポンティ、サルトル、アルチュセールなのであり、かれらのマルクス理解なのである」「アロンをして資本論を読みすすませたのは、マルクスの思想は現時点の大不況の理解に役立つであろうかという関心とともに、マルクス主義は不可避でありかつ救いである未来像を示すことで…選択という重い、政治の課題から我々を本当に解放してくれるのかどうか」2014/12/19