中公新書<br> 満州脱出 - 満州中央銀行幹部の体験

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中公新書
満州脱出 - 満州中央銀行幹部の体験

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  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121007698
  • NDC分類 916

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

筑紫の國造

7
満州中央銀行発行課長を勤めた人物による、敗戦から始まる脱走記。日本が敗北し、満洲国が消滅してから日本に帰るまでの過酷な日々が、生々しく描かれる。ソ連、八路軍、国民党と次々に入れ替わる支配者を相手にして、必死の折衝によって生を保つ日本人の悲哀。そして、食糧もなく満州の荒野を彷徨い、死の瀬戸際まで追い詰められながらついに帰還した著者の運命は、ドラマチックだ。「戦争に敗ける」ことがいかに悲惨か、身をもって証明している。2017/03/13

まろにしも

5
★★★★ 満州中央銀行幹部による終戦後の満州の状況と脱出の記録。新田次郎氏の妻である、藤原てい著「流れる星は生きている」も名著であったが、この本もそれに劣らぬ名著。著者の精神力と強運には圧倒されたが、読んでいるうちに、その真髄は両親の教えである”徳を積む”生き方にあるのだと感じた。満州脱出時に、戦前に助けた中国人に奇跡的に再会して九死に一生を得る場面は感動的だった。戦前の満州中銀での著者の仕事ぶりと責任感にも脱帽。文字通り命がけで現地人との信頼関係を築いていかれた点が印象的だった。2015/05/30

印度 洋一郎

2
満洲中央銀行の管理職だった著者による、前半は敗戦から満州を脱出するまでの逃避行の日々、後半は満州に赴いて銀行業務に邁進していた日々をそれぞれ綴る。敗戦後の満州は、ソ連軍占領下の略奪、中国国民党の進駐と共産党軍との内戦勃発と激動の事態に翻弄された。貨幣発行業務に精通した著者は占領者に協力する事となるが、内戦で長春が共産党軍に包囲された事で脱出を図り、飢餓に苛まれながらも内戦下の中国を横断し、幸運にも中国人に助けられる事も度々で日本に帰国を果たした。戦前は建国間もない満州国で通貨を定着するために奔走する。2023/05/31

まつだ

0
満州中央銀行にその黎明期から勤めた著者が太平洋戦争敗戦後の当日のソ連侵攻、その後八路軍に封鎖された長春脱出の顛末。「貨幣は弾丸なり」とはよくいったものである。経済統制を相談したら顔真っ赤にした東条英機の思い出話とか、なかなかに読みどころが多い。書名の通り、当時を生きた人のほんとに飾ってない、武勇伝でもない、回顧録。2015/10/03

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