お腹召しませ

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  • サイズ B6判/ページ数 251p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120037009
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

昔のおさむれえってのは、それほど潔いもんじゃあなかった――二百六十余年の太平の後に、武士の本義が薄れた幕末から維新へ。惑いながらもおのれを貫いた男たちの物語。名手が描く全六篇。

内容説明

入婿が藩の公金に手を付けた上、新吉原の女郎を身請けして逐電。お家を保つために御留守居役が出した名案は「腹を切れ」。妻にも娘にも「お腹召しませ」とせっつかれ、あとにひけなくなった又兵衛は(表題作)―二百六十余年の太平で、武士の本義が薄れてきた幕末から維新にかけてを舞台に、名手が描く侍たちの物語。全六篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃいろ子

40
武士は食わねど高楊枝という言葉があるが、滑稽で窮屈だけれど、矜持を貫き背筋を伸ばして生き抜いた男たはちの姿はやはり心を打つのである。 どの話もとても良かったが、浅野長勲のお話が特に印象的。また、あとがきに記された浅田氏の、文学と歴史についての考えがとても興味深く、なるほど!と納得した。2021/07/04

くみ

18
タイトルに惹かれて。特徴は導入部に浅田さん自身のお話があり、そこから想像を膨らませたように、ストーリーが始まる、6編の短編集。時代は幕末、主人公は変わるが江戸の武士。表題作は養子の逐電の責任をとって切腹しようとするんだけど。。な、お話。これは主人公、高津又兵衛に同情すると同時に女性たちの気持ちもよくわかって、申し訳ないと思いつつもニヤリ。 どのお話も良いのですが、好きなのは「江戸残念考」啖呵を切って上野の山へ駆け出す姿が印象的でした。前半がコメディだけに尚更! 2017/11/18

マカロニ マカロン

14
個人の感想です:B。幕末から維新後の江戸の下級武士題材の短編小説6話。表題作冒頭で著者の祖父(明治30年生まれ)が語るように「昔のお侍てえのは、それほど潔いもんじゃあなかった。そこいらを映画だの本だので勘ちげえしちまったから、世界中を敵に回した戦争なんぞして、あげくの果てはこのざまだ」という話。入り婿が藩の金を200両横領して女郎と逐電した責任を取って孫に家名を残すため腹を切ることになった隠居した侍。子が出来ないまま江戸在府が続き、妻に間男が出来、女敵討しに国元に帰る武士など、味わいのある結末の話だった2021/02/14

にこ

13
短編集。女敵討、江戸残念考、が好き。帯に、それほど潔いもんじゃあなかった、と書いてある。たしかに潔くはないけど一生懸命だったよなと思った。2019/09/15

藤枝梅安

13
幕末から明治への変革期、歴史の表舞台には出てこない下級幕臣が時代に翻弄される様を描いた6編からなる短編集。いずれの話も筆者の思い出話や随想から始まり、物語へと入っていき、余韻を残しつつ筆者の短い解説がつく、という趣向。幕府が倒れて損をしたもの、命拾いをしたものなど、悲喜こもごもの人情話である。当代のストーリーテラー・浅田さんの技が炸裂、と言う感じのすいすい読めてじっくりと後味まで楽しめる粋な6編である。2009/10/07

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