充たされざる者〈上〉

充たされざる者〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 434p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120027048
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

世界的ピアニスト、ライダーはヨーロッパのとある「町」に降り立つ。「町」は精神的な危機に瀕しており、市民たちは危機克服の望みを演奏会「木曜の夕べ」の成功にかけていた。「町」を蘇生させる重責を担わされたライダーに市民がもちかける相談とは…。イシグロが冒険的手法を駆使して現代の苦悩に取り組んだ異色問題作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

351
本書は、カズオ・イシグロの全部で7つある長編小説の4番目にあたる。上下巻合わせて800ページに及ぶが、上巻を終わった段階で、物語内時間ではまだわずかに2日。プロットの展開も遅々として進まないが、主人公のライダーを中心に随分たくさんの人物たちが登場している。招聘されたライダーが紛れ込んだのは迷宮世界なのだが、カフカ風の暗鬱な不条理世界とは違って、どこか晴朗で明るい。ただし、ライダー自身にとっては、しだいに自己のアイデンティティが揺らぎ始めている。今のところ、それは主として他者との関係性においてそうなのだが。2016/05/09

HIRO1970

100
⭐️⭐️⭐️⭐️図書館本。イシグロさんは5冊目。難解度MAXな作品の前半がようやく終わりました。だまし絵のような迷宮を彷徨い続ける主人公は痴呆症なのか認知症なのかコミュ症なのか、そもそも現実の話なのかはたまた夢の中の話なのか、まさに流れに浮かぶ泡沫を字でいくお話で、フラフラと何一つ計画を決められず周りの状況に翻弄され続ける展開です。これでやっと2日目の晩になったところですから驚きです。この泡沫(ウタカタ)は何処へ向かっているのでしょうか?後半はもう少し理解できるかな?頑張ってみます。2016/07/28

どんぐり

83
カズオ・イシグロの長編小説。主人公は、ある町から招請されてやって来た天才ピアニスト。ホテルに到着するやいなや、次から次と頼まれ事を受け入れて、あちらこちらへ。どうやらこの町は、かつて住んでいた場所のようである。他人だと思っていた相手が妻と子どもだったり、突然意識下に過去の記憶が浮上したり、他人の会話の中に自分を揶揄する心の声が届いたり、現在から過去へ時空を行き来する。まるで夢を忠実に描いているかのようだ。混とんとした物語だが、面白い。(下巻2016/05/19

アキ

35
コンサートの目的で世界的ピアニスト・ライターが訪れた町での2日間のやり取りのみ。表面上は歓迎する人々と諸手を挙げての歓迎とは言えない違和感がある人々の対応。上巻では何も事件は起こらない。新聞での扱い“ライダーの鬨の声”の記事の内容と彼の苛立ちが下巻でどう展開するのか?2018/11/10

ophiuchi

16
変な夢の話を延々と読まされているようで、とにかく読み進めるのが大変な問題作(と言っていいんですよね?)。それでも投げ出さずに下巻に行けたのは、著者の底力ゆえといったところか。2017/11/08

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