出版社内容情報
全15巻の著作集に入らなかった随筆や講演録などを「日本を訳す」と題して収録。著者の年譜や著作目録など、網羅的な資料を付した。
内容説明
書籍に初収録の12編を含む15編の講演録・エッセイを収載。こよなく日本を愛し、2019年2月24日に私たちに別れを告げたドナルド・キーンさんの一周忌を期して、詳細な書誌を刊行。
目次
補遺:日本を訳す(日本人と日本文化を概観する;日本文化と女性;私の『源氏物語』;平家と日本文学;能の普遍性;外国から見た『おくのほそ道』;近松を英訳して;翻訳について;私の日本住居論;訳し難いもの;日本文学史について;日本人の美意識と日本語の魅力;古くして新しきもの―日本の文化に思う;なぜ、いま「日本国籍」を取得するか;『方丈記』は語る)
著作集総索引
著作集総目次
書誌:著書目録
書誌:著作目録
ドナルド・キーン年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なかなか
10
この時期にこの本を手にするとは。「絶望することはありません。『方丈記』に記録されているような災難はいつの世にも起こりますが、常に日本は蘇り、新たな文化が生まれました。日本人にはそれができます」東日本大震災後の先生の言葉です。講演録等を集めた巻ですが、学究の分野のみならず、先生の人生そのものが、日本文化、日本人への深く温かい愛情に満ちたものであることを改めて感じます。 今、先が見えない不安な日々の中、このように日本を信じ愛してくれた方がいたということが何ともありがたく、救われるような気持ちになります。 2020/04/11
中尾 公三
0
日本語、日本文化、源氏物語をはじめ数々の日本文学など幅広く日本について取り上げられているが、最後は「なぜ、いま『日本国籍』を取得するか」と「『方丈記』は語る」である。 福島原発事故後、外国人が、続々と日本から逃げていくニュースに接し、怒りを感じ、自分は違うと日本人に示したかったということだ。初めて日本に降り立った時の焼け野が原の東京、阪神淡路大震災、そしてそれらから立ち直った日本人を見てきて、東日本大震災後の東北もきっと立ち直るに違いない、と励ます気持であったのだろう。 2021/02/19