出版社内容情報
世間には「どうしても頑張れない人たち」がいる。彼らを支援するための知識とメソッドを詳述。
内容説明
「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。
目次
第1章 「頑張ったら支援する」の恐ろしさ
第2章 「頑張らなくていい」は本当か?
第3章 頑張ってもできない人たち
第4章 やる気を奪う言葉と間違った方法
第5章 それでも認められたい
第6章 支援者は何をどうすればいいのか
第7章 支援する人を支援せよ
第8章 “笑顔”と“ホスピタリティ”
著者等紹介
宮口幸治[ミヤグチコウジ]
立命館大学産業社会学部教授。医学博士、精神科医、臨床心理士。精神科病院、医療少年院での勤務を経て2016年より現職。著書に『ケーキの切れない非行少年たち』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
325
頑張るとは忍耐することだ。忍耐力に欠ける人間は珍しくないし、虐待や教育の問題でやる気を出せない人もいる。そんな人たちのやる気を保たせたり、目標実現まで耐えさせる方法は千差万別だし、個別の事情に細かく対応していてはきりがないのも事実だ。そのため認知障害などで相互理解が成立せず助けが必要とSOSを出せない人への支援は、どうしても後回しになってしまう。宇宙より広く海より深い人間心理の暗い空間に分け入り、できるところから少しずつ手をつけていくしかない現実を教えてくれる。支援する人を支援せよとは深く考えさせられた。2021/05/25
Kanonlicht
265
本書を読んでつくづく思うのは、教育や指導に王道や正解というものはなく、結局のところ個々の性格や資質に合わせ指導法もカスタマイズするしかないということ。著者が言う「心の扉の取っ手は内側にしかない」はまさにその通りで、支援する側は何が彼ら彼女らの心を開くのかを天岩戸のように暗中模索することになる。唯一絶対のものがあるとすれば、相手が何を考えているかをたとえわからなくても理解しようとする、これなくしては人の心を動かすことなどできないのだろう。2021/04/30
ykmmr (^_^)
247
ケーキ第2段。『頑張り』・『努力』・『根気』・『熱意』…。そういった沢山の綺麗な言葉。しかし人間は誰でも、得意不得意がある訳で。どうやって長所・特技などを伸ばし、どうやって短所・苦手を克服するのか?自分たちでそれを考える訳だけど、それがまた難しい人たちがいる。今は『特性』とかと言うのかな?ケーキの本でも同じ事が言えるが、私たちがそういう人もいるんだ。とまずは理解する事。そして、『特性』などについて知識をつける…。となるが、難しさで頭を抱える。そんな時に、初心者でも理解しやすく、面白い。この2冊が必要。2021/11/06
ムーミン
204
今回は支える側についての内容。外見の違いに対する差別、外見だけでは判断のつかない差別。多様性を尊重することの難しさを感じました。2021/06/23
修一朗
196
続編を標榜しているもののケーキの切れない非行少年たちは出て来ない。少年たちを支援指導する側の人たちに向けての提言。「頑張らなくてもいいと言ってあげる/できることを褒める」は大事な向き合い方だが「どうしても頑張れない人たち」にとっては逆効果だと言う。それでも「どうしても頑張れない人,関わると面倒くさい人」こそ、応援や支援をするのだ。それは感情的には容易ではない。言いっぱなしではダメということ。難しい問題提起だし,すんなりとした解決策はないのだ。2021/07/08