新潮選書
天下の副将軍―水戸藩から見た江戸三百年

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  • サイズ B6判/ページ数 239p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106036064
  • NDC分類 213.1
  • Cコード C0321

内容説明

名誉を尊び、清貧な文化を育み、独自の世界観と天皇論を唱える水戸学を確立し、激動時に徳川将軍家のブレーンとして活躍した水戸徳川家。数奇な運命の「黄門様」こと徳川光圀による日本史研究事業や「御三家」への昇格工作、幕末の藩主・斉昭による奇抜な産業振興策、最後の将軍・慶喜誕生への計略など、日本史の転機に登場した最も清貧で最も苛烈な水戸藩の知られざる全史。

目次

序章 「副将軍」の謎と七人の黄門様
第1章 家康の天下と水戸藩の誕生
第2章 名君「徳川光圀」の苦悩と栄光
第3章 「副将軍」伝説と水戸藩の危機
第4章 徳川斉昭の果断と大改革
第5章 黒船来たる―幕政への参加と大政争
第6章 幕末騒乱と水戸藩
終章 水戸徳川家のそれから

著者等紹介

長山靖生[ナガヤマヤスオ]
1962年茨城県生まれ。評論家、歯学博士。鶴見大学歯学部卒業。歯科医の傍ら、文芸評論、社会時評など幅広く執筆活動を行っている。96年『偽史冒険世界』(ちくま文庫)で、第10回大衆文学研究賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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zag2

32
地元の歯科医であり作家・評論家でもある長山さんの本。書くためのよすがとして歯科医をしているというだけあって、三百年にわたる水戸藩の動きを克明に描いています。読み終えるのにずいぶんと時間がかかってしまいました。幕末の水戸藩の混乱は地元ではタブー視される傾向があって、口にする人も滅多にいないのですが、悲惨な実態を後世に伝えていくべきだとあらためて感じました。2022/06/01

印度 洋一郎

5
徳川御三家の中でも、独特の位置をしめている水戸家の歴史をひも解くと、少し違った江戸時代の側面が見えてくる。御三家、天下の副将軍、幕府の御意見番、これはどうも尾張や紀州よりも家格の低い水戸家が意図的にイメージを作り、デモストレーションを続けた結果勝ち取った地位だという。そして、遅れてきた武闘派大名だったが、異彩を放つ名君となった二代目の光圀はやっぱり興味深い。幕末を思想的にリードしていたはずが、内紛で歴史の表舞台から消えてしまった維新前後の悲劇的な藩の終焉も哀しい。水戸出身の慶喜も寄りつかなかったという。2010/10/12

maito/まいと

4
そもそも‘副将軍’という地位が正式にあるわけじゃないというジャブから始まる本書。御三家という次期将軍家候補でありながら、将軍の身近な補佐役の地位を選び、その地位を守り続けようとした水戸家の歴史が史料と丹念な分析によって明らかとなっていく。歴代藩主(もちろん黄門様こと光圀や、その前後代の悲しき交代劇など)の功績や幕末期の水戸藩の躍進、井伊大老暗殺や天狗党事件などの過激な行動の理由についても詳しく書かれている。また、一地方史としても非常に貴重で興味深い内容が多く、日本のより踏み込んだ歴史理解には欠かせない一冊2012/01/22

ketaro 33d@

2
裏表紙「謎多き水戸藩の奇史から読み解く新しく江戸時代」 江戸時代の水戸藩の歴史を、歯医者かつ評論家の著者がつづったもの。御三家がもともと偶然の産物だった話や幕末尊皇攘夷と佐幕の間で分断していく話、江戸時代中期の藩改革の試みと挫折など 幅広く経年的に知れた点で学ぶところは多かった。 再度水戸学生成のいきさつと現実への反映時の齟齬など、学び深めたいなと思う。意外と光圀斉昭慶喜ら藩主も海外蘭学を知りながら水戸学発展に貢献したのではと、それらも他書物からみていきたいと感じた。2024/01/21

katashin86

2
「御三家」といいつつ石高も藩主の極官も尾張・紀州より格下、参勤交代をしない「定府制」という特権的な立ち位置は赤字体質と藩士の分裂を生み、歴史研究にのめりこんだあげくに幕末動乱をリードして最後は暴走・惨劇に終わるという、なんとも不思議な歴史を歩んだ水戸藩の300年。 あらゆる過去が過ぎ去って、水府はいま梅の都。2020/04/05

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