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新潮選書
貨幣の思想史―お金について考えた人びと

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  • サイズ B6判/ページ数 238p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784106005152
  • NDC分類 337.1
  • Cコード C0333

内容説明

本書はペティからケインズにいたるまでの経済学者の苦悩のあとを辿りつつ、貨幣の背後にある資本主義社会の架空性=虚妄性をえぐり出す。著者のこれまでの、今の人間の生き方の空しさを告発する一連の仕事に貴重な一環をつけ加えた労作である。現代を理解する鍵となる好著である。

目次

プロローグ 人間と貨幣の関係
第1章 国家の富と創出―ウィリアム・ペティと『政治算術』
第2章 「自然の秩序」と貨幣―フランソワ・ケネーと『経済表』
第3章 使用価値をめぐって―ジョン・ロックと『市民政府論』
第4章 経済学と理想の秩序―アダム・スミスと『諸国民の富』
第5章 経済学が生まれる時―リカードゥと『経済学および課税の原理』
第6章 貨幣の経済をめぐる矛盾―J.S.ミル、マルサス、バウェルク
第7章 貨幣廃絶論の行方―モーゼス・ヘスと「貨幣体論」
第8章 人間の尊厳と貨幣―ヴィルヘルム・ヴァイトリングと草創期の社会主義思想
第9章 観念の支配としての貨幣―マックス・シュティルナーと『唯一者とその所有』
第10章 社会主義と労働時間―カール・マルクスと『ゴータ綱領批判』
第11章 貨幣の時代の憂鬱―ケインズと『一般理論』
第12章 貨幣の精神史
エピローグ 貨幣と虚しさ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

33
ポランニーの研究は、一般に経済社会学(011頁)。なぜ貨幣は富の絶対的価値基準になりえたのか(030頁)? ペティは政治経済学への数学的手法の導入を試みた(034頁)。政治経済学の目的が国家の富の増加におかれ、結果、普遍的な富としての貨幣の増加に目標がおかれた(039頁)。ケネーの重農主義は、physiocratieの自然にもとづく政治、自然の秩序にもとづいた政治を意味した(055頁)。2016/07/14

しんすけ

2
貨幣が無くならないかぎり人類間の不平等は無くならない。それが明らかなのに人類の歩みから貨幣を放逐する行動を発見することは出来ない。本書は、その要因を経済思想史の観点から分析したものだ。一般に経済思想史に登場するのは、ケネー、スミス、リカード、マルクスなどの経済学批判の中心に居た人物に限られる。本書ではヘスやシュティルナーなど哲学分野まで範囲を広げている。なかでもヘスが「近代の奴隷制は人々の自由意志で実現する」と指摘するのは興味深い。ナチスの奴隷となることを選択した現代人は貨幣の奴隷でもあったと云える。2015/02/28

naagita

2
「未来をさし示す秩序は必要ではない。必要なものは関係の創造とともに変容する世界であり、人間の可能性を解き放していけるような関係の創造である。」(第12章)読みやすい本ではないが、志の高さに引かれて何とか読了。交換価値VS使用価値。秩序理論VS関係構築。2009/10/07

えひめみかん

1
「感覚的には当たり前」のことを細分化・理論化して再構成するタイプの基礎科学の書籍。過去の理論を概観しながら、貨幣について考える。「貨幣は不愉快な宝である」との言葉が印象的だった。2018/12/01

nobinobi

1
「使用価値的な豊かさと、貨幣で表現された豊かさとは根本が違っていた。前者は関係のなかに生じる質的豊かさなのに、後者は、それを大量に所有していることでえることのできる量的豊かさである。」p219、「私たちが創造しなければならないものは、使用価値を実体化しうる関係であり、そのことをとおして貨幣を実体化しうる関係を縮小していくこと」p2262017/06/24

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