内容説明
悠久の過去に生まれた宇宙誕生の証拠を探せ―。古代から20世紀のその瞬間に至る天才たちの知的格闘の歴史、壮大なるドラマ。
目次
第4章 宇宙論の一匹狼たち(宇宙から原子へ;最初の五分間;宇宙創造の神の曲線;定常宇宙モデルの誕生)
第5章 パラダイム・シフト(時間尺度の困難;より暗く、より遠く、より古く;宇宙の錬金術;企業による宇宙研究;ペンジアスとウィルソンの発見;密度のさざなみは存在するのか)
著者等紹介
シン,サイモン[シン,サイモン][Singh,Simon]
1967年、イングランド南西部サマーセット州生まれ。祖父母はインドからの移民。ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、テレビ局BBCに転職。96年、ドキュメンタリー『フェルマーの最終定理―ホライズン・シリーズ』で国内外の賞を数多く受賞し、この番組の取材をもとに書き下ろした『フェルマーの最終定理』も世界的ベストセラーとなった
青木薫[アオキカオル]
1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒業、同大学院修了。理学博士。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rosetta
23
上巻はビッグバンまでの前史。ここ巻からがいよいよビッグバン理論がどのように宇宙論で正当な地位を占めるようになっていったかが語られる。いつものサイモン・シンの卓越した手法で、難しい数式などを使わず科学の雰囲気を素人にも満足できるレベルで十分に伝えてくれる。ビッグバン理論が認められるまでの道程は、天動説から地動説への転換にも匹敵するドラマチックなパラダイムシフトであった。生活には全く寄与しない純粋な科学的な好奇心に殆ど生涯を捧げる数多くの科学者の尽力により人類は生存を保証されたのではないかとすら思える2021/12/11
やまやま
21
アインシュタインの世界観は理路整然としていて、今でも科学者の鑑であろうが、直観は事実と違うことも多かったことを改めて感じる。量子力学にせよ、不完全性定理にせよ信心で事実が決まるものではないが、カンの良い人でもそんなに離れていない分野のことをなぜ外すのか、といったことを考えた。エピローグ及び訳者あとがきでアウグスティヌスの神学問答が引かれている。これは問いと答えがさかさまにされる例も多いようであるが、アウグスティヌスの態度は誠実で、現在の科学的方法論とは違うにせよ、「知りたい」という問いを励ますものがある。2020/09/12
クラーケン
6
面白かった。ただ、こういう上下巻に別れている本にありがちな、下巻に期待しすぎて順当な流れで話が終わって物足りない感はあった。しかし、訳者あとがきにあったように、これまで幾人にもネタにされ続けた科学の王道ビックバンを、あえて挑んで堂々たる本にしたサイモン・シンに敬意を払いたい。なんか他の本ではうわべだけだった宇宙創生が生々と感じられた。特に死にかけの星が様々な元素を生み出すのに感動した。2022/11/06
たつや
6
天文学物理学に長年従事し、人生を掛け研究をされた方々には本当に失礼だが、宇宙は神様が創られたと思えば全ては丸く収まるのにな、と言う感想を読後に持った。あと、中性子、原子の辺りで、原子爆弾という地球上に不要な物を作った人を突然憎む。2022/07/24
夏子
6
知れば知るほど不思議で興味深い宇宙の始まりが分かり易い言葉で紹介されている、とても面白い本でした。宇宙の始まりの前については今のところ答えは無いと言うのは昔学生の時に受講してた先生が同じ事を言ってたなあと懐かしく思いました。2015/04/26