出版社内容情報
亡夫に頭を撫でてほしい妻。子供が覚えているお母さんの匂い。何度も抱っこされた小さな亡骸……納棺師が涙した家族のお別れの物語。
内容説明
冷たくても夫の手で、もう一度だけ頭をなでてほしい…。お母さんを、いつものいいにおいにして見送りたい…。小さな“なきがら”に、パパとママが最後にしてあげたこと。ベテラン納棺師が涙した宝石のような実話集。家族の「お別れ」の物語。4000人以上を見送った今、伝えたいこと―。
目次
第1章 においのぬくもり 声のやすらぎ(「いい子、いい子」して欲しかった;桜の下の棺;悲しいのは当たり前だよね ほか)
第2章 旅立ちのための時間(生と死の間の時間;親父の思い出なんてない;最後のお風呂 ほか)
第3章 棺は人生の宝箱(鰻と日本酒と留袖と;あの世に何を持っていく?;「やっぱりお父さんだった」 ほか)
著者等紹介
大森あきこ[オオモリアキコ]
1970年生まれ。38歳の時に営業職から納棺師に転職。延べ4000人以上の亡くなった方のお見送りのお手伝いをする。(株)ジーエスアイでグリーフサポートを学び、(社)グリーフサポート研究所の認定資格を取得。納棺師の会社・NK東日本(株)で新人育成を担当。「おくりびとアカデミー」、「介護美容研究所」の外部講師。夫、息子2人の4人家族(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
101
著者が父の死の際に感じた後悔が、納棺式で父の身体に触れることによって救われた気持ちになったことで納棺師になろうと決意し、その後体験した遺族の物語を書き記す。幼い子供の死、小さな子供を遺して逝く母親…は、とてもつらい。私の父の時にはお決まりの死装束だったが、時代も変わり母の時にはお気に入りのドレスをまとい食べたくとも食べられなかった好物をたくさん、これでもかというくらい入れた。さて、私の時には…家族は私のお気に入りの服を知っているのかな?自分で用意しておくかな。2022/01/21
ムーミン
30
納棺師という仕事ならではの気付き、視点から、自分自身の家族に対する向き合い方を見直す機会になりました。2023/01/13
mami
12
父の時も母の時も湯灌師さんが一切を行ってくれたので、納棺師さんとの違いは?と思って調べたら呼称に対する明確な線引きはないそう。この本は納棺師さんのエピソード集。そしてご自身のお父様に対する思いや後悔が込められている。大変なお仕事だと目の当たりにした時感じたけれど、読み終えて一層その思いが強くなる。こういう職業の方がいらっしゃるからこそ故人とのお別れがしっかり出来るんだよなと実感。2022/01/27
まりちゃん
8
図書館*何かの媒体紹介されていて読んだ本。号泣しながら読了。自身の父親の死をきっかけに、納棺師という仕事を選んだ筆者が沢山のご遺体や遺族とのエピソードを紡いだ一冊。人間の死亡率は100%、全員が必ず棺に入る。誰もが辿り着くのに、死って確かにタブーな会話だったりする。私は4人の身近な人を亡くしたが、葬儀の際に納棺師さんによる様々な処置はどのように行われていたのだろうか。これからは今まで以上に身近な人が彼岸に行ってしまうだろう。いつかは私も。棺は人生の宝箱。私の棺にはどんなものや思い出が入れられるのかなぁ。2022/03/17
かんちゃん
7
ここに書かれていることは、作者が体験してきた一部であり、書いていいことなんだろう。でもこの後ろには本当にたくさんの経験をされていて、とても文字に出来ないこともたくさんあったのだろう。だからこそ、ここに書かれていることの重さや大切さが自分の心にささる。人間は必ず死ぬということの当たり前さ。『memento mori』 シンプルだけど忘れてはいけないこと。2024/01/10