新潮文庫<br> 緑の家

新潮文庫
緑の家

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  • サイズ 文庫判/ページ数 706p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102453018
  • NDC分類 963
  • Cコード C0197

内容説明

砂の降りしきる町の娼家「緑の家」、密林に覆われた尼僧院、インディオの集落。ペルー社会の複層性さながらに交錯する現代・中世・古代。盲目のハープ弾き、飲んだくれ、日本人の流れ者、そして女…。市民的規範には無縁のしたたかな人物群が多様多彩に躍動乱舞する。―ラテンアメリカ文学の豊かな土壌に育くまれ、前衛的な手法を駆使して濃密に織りなす、物語の壮大なる交響楽。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

赤とんぼ

35
密林の迷路を一歩づつ歩いてゆくように読みました。いったい、何週間かかったんでしょう(笑)混乱した糸がほどけてゆくように、物語がつながってゆく中盤以降がぞくぞくとします。上善如水。頭がぼんやりするような暑さの中で読むと、なんとも雰囲気がありました。「小説を書くということは現実に対する、神に対する、神が創造された現実に対する反逆行為に他ならない」というリョサの言葉がじんわりと沁みる一冊でした。2014/07/24

kasim

31
はじめは枝葉の絡み合う密林を手探りで進むよう。粉々のモザイクのような断片がやがてつながり始めると、緩やかでぬかるんだ川に出る。あとは身を任せ、日々を生きるのに必死で足元を見ない男たち、健気で強い女たちの人生がそれぞれの結末に向かっていくのを見守るばかり。それにしても力で動くこの世界で女性は何と大変なことか。砂の降り続けるピウラの街、ドン・アンセルモとガルシーア神父の関係、緑の瞳のボニファシア、出来損ないのクルツのようなフシーア…。昔から杉山邦さんの装画が気になっていて、新潮文庫版を買いました。2022/03/04

黄色と橙

11
再読。前回のメモが手元にあって助かりました。が、メモがあってもアマゾンの密林さながらに繁茂し複雑に絡み合う物語を読み解くには相当の集中力が必要。2周目だと各断片とその繋がりがより分かって面白い(1周目は驚きの方が強かった)。徹底的にリアリスティックな記述なのに、時間・場所・人物がシームレスに変化し混乱しつつも強烈な印象を残す不思議さもたまらなく愉しい。登場人物は生命力に溢れていて逞しく、その描き方も前衛的な手法とみごとに融合していて、濃厚な読後感を得られます。2012/08/01

aur0ra

3
リョサが少年時代を過ごした町、ピウラで見た緑の家をモチーフにして書かれた作品。物語は断片化されているが、ところどころ別々のエピソードが一文の中で繋がる場面も。物語は「緑の家」とそこにまつわるさまざまな人物、強いて挙げればドン・アンセルモと「緑の家」そのものが主人公。途中、ドン・アンセルモが後年に恋をする盲目の少女アントニアとの対話・モノローグの描写が秀逸。2009/01/21

fseigojp

2
マルケスが神話的に語った南米をリアルに語っている2014/04/20

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