新潮文庫<br> 評決のとき〈上〉

新潮文庫
評決のとき〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 491p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102409015
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

いまなお人種差別の色濃く残るアメリカ南部の街クラントン。ある日この街で、二人の白人青年が十歳の黒人少女を強姦するという事件が起きた。少女は一命をとりとめ、犯人の二人もすぐに逮補されたが、強いショックを受けた少女の父親カール・リーは、裁判所で犯人たちを射殺してしまう。若いけれど凄腕のジェイクが彼の弁護を引受けたのだが…。全米ベストセラー作家の処女長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

300
この作品は'80年代のミシシッピを舞台に書かれている。この前提なしには、本書の語る"正義"を諒解することは困難だ。おそらくは、アメリカの北部人の多くにとってもそうだろう。北部と南部の"正義"は違うのだ。一家の家父長である父親が、武器を以てでも家族を守るのは当然であり、それを侵された時に自ら復讐することも当然の”正義"なのである。娘を輪姦した犯人を父親が射殺したとして、白人の父親が黒人の犯人をであれば、不起訴、または無罪であることは当然と考えられている。この小説の場合は、黒人の父親が白人を射殺した⇒ 2016/02/23

遥かなる想い

244
法廷ミステリーで名高い グリシャムのデビュー作。 凌辱された黒人少女の 父親が犯人を射殺、この 父親の弁護をめぐる物語。 現存するアメリカの人種 問題の闇を的確な筆致で描く。物語の底に流れる 黒人差別の色濃い雰囲気が 不気味で、静かなる緊張感 を感じる。娘の父カール・リーの 弁護人ジェイクのキャラが 共感できないのが残念だが… 物語の軸になる黒人と白人 との対立がどう火を吹くのか…下巻が楽しみ。2015/12/05

ケイ

110
黒人の男は、娘をレイプした白人の男たちを射殺する。これは、南部ならではの設定とは言うが、犯人の彼らが正当に裁かれるとは思えない人種差別に父親が殺意を抱くというのは、先日読んだハーレムが舞台のボールドウィンの作品でも扱われていた。設定は1940年頃だろうが。簡単に殺せる銃というものを簡単に手にできるアメリカ社会の闇をも見る思いがする。法廷サスペンスと言いながら、なかなか法廷闘争にはならないのだが、このまま下巻に期待。2016/04/23

レアル

97
再読。白人が黒人少女に強姦するという事件が起きた。その黒人少女の父親が法廷でその犯人を射殺。人種差別が色濃く残るこの地で弁護を引き受ける白人弁護士!法廷サスペンス。日本の様な単一民族の中で暮らすと、黒人と白人、同じ人間なのにこれ程の壁があるのか!と改めて思い知らされる。2013/12/02

扉のこちら側

85
2016年831冊め。【214-1/G1000】10歳の黒人少女がレイプされ、犯人の白人2人は少女の父親により射殺された。アメリカ南部という地域柄、被害者や加害者の人種により裁判の行方が変わっってしまうあたりが、一筋縄ではいかないところ。主人公である弁護士自身も、義侠心がないわけでもないが自分の売名ありきで動いているのがおもしろい。法廷劇は下巻へ。2016/10/10

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