新潮文庫
複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 683p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784102177211
  • NDC分類 404
  • Cコード C0140

内容説明

物事は全て秩序から混沌へと進み、やがて宇宙は終局する―。この常識を覆したのが「複雑系」だ。そしてこの発見は、物理学、化学、経済学、情報学…すべての学問体系を揺るがせるに至った。新しいサイエンスのキーワード「複雑系」をあらゆる角度から分析しつつ、創造神に一歩近づいたサンタフェ研究所の俊英たちのドラマを証言で綴る、新世紀サイエンス・ドキュメンタリー。

目次

第1章 アイルランド的ヒーロー―世界のダイナミクスをとらえる新経済学
第2章 老年急進派の反乱―サンタフェ研究所の胎動
第3章 悪魔の秘密―生命の起源を探る遺伝子ネットワーク研究
第4章 君ら、本当にそんなこと信じてるのかね?―経済学者と物理学者の理解・不理解
第5章 遊戯名人―「複雑適応系」としての世界
第6章 生命はカオスの縁に―人工生命が語る生命の本質
第7章 ガラス箱のなかの経済―株を売買するコンピュータ
第8章 カルノーを待ちながら―「新しい第二法則」誕生の予感
第9章 その後のサンタフェ研究所―二十一世紀の地球のための科学

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

122
大学生の時に読んだ本。市場の収穫逓増とか、カオス理論など当時はこれが最先端だと思っていた。全く異なる分野の知見が同じ数学の土俵で絡み合うのが面白かった。 これと同時代のほとんどのSF作品に、この複雑系というキーワードが入っているのもうなづける。今思えば、著者は少し過熱気味だったか。

KAZOO

119
やはりこのような研究所自体があることがアメリカはやはり懐が深いと感じます。様々なすぐには役に立たない分野を研究していくのですからすごいと思います。経済学の均衡論の大家のケネス・アローも出てきたりで興味深く読ませてもらいました。ひるがえって日本はどうなのか、というとやはり日本は役に立つということであればかなり積極的な支援もするのでしょうが。ソフトバンクさんや楽天さんあたりが頑張ってくれないですかね。2016/02/23

Shin

18
職場の先輩から薦められて読んでみた。「複雑系」としか名付けようのない、秩序とカオスの縁に現れては消える不思議な営み。ひとりひとりとっても腰を抜かすような著名な科学者が、その概念に知的好奇心を刺激され、アナロジーを語り、議論を交わし、新しい科学の誕生(難産ではあるが)の目撃者たろうとする。全てを解剖して単純化してきた還元主義に抗おうとする知的良心のレジスタンスは成功したと言えるのだろうか。何をもって成功とするかも含めて、もうしばらく余韻を噛み締めつつ自分で考えてみたい。2015/12/17

さきん

9
常々感じていたことがすでに30年前に形になっていたことを知った。生物の生態系や増殖システムが経済に似ていることや、なんでも単純化し数式に頼りすぎると全体が見えなくなってしまうことは、全くその通りだと思った。ケインズ経済学を見直した上で、この複雑系の考えを反映した収穫逓増などの違う見方の経済学を盛り込んだら、もっと適格な政策を打てると思う。複雑系の研究は、広い分野に精通し、共通性に気づき、理論化する作業であるから、評価が難しい。2015/08/06

サアベドラ

8
これだから洋物ノンフィクションはやめられない。日本でもこういうよく出来たノンフィクションがもっと出て欲しいんだけど。湿っぽいお国柄がいけないのかしら。そういえば日本はサイエンス・ノンフィクションの伝統ってあったけか。2007/11/02

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