出版社内容情報
さよならだけが、人生だ。本の中の世界を破壊する侵蝕者との戦いのため転生した井伏鱒二。原因不明の不調に悩まされる彼は、侵蝕された自著『かるさん屋敷』への潜書に向かうが、物語は井伏の心の傷を抉る世界に変容していた。その中で井伏は、作家として大成することのなかった親友の想いがこの事態を引き起こしたのではないかという悲しい疑念を抱くが……「文豪とアルケミスト」公式ノベライズ第三弾。
内容説明
本の中の世界を破壊する侵蝕者との戦いのため転生した井伏鱒二。原因不明の不調に悩まされる彼は、侵蝕された自著『かるさん屋敷』への潜書に向かうが、物語は井伏の心の傷を抉る世界に変容していた。その中で井伏は、作家として大成することのなかった親友の想いがこの事態を引き起こしたのではないかという悲しい疑念を抱くが…「文豪とアルケミスト」公式ノベライズ第三弾。
著者等紹介
仁木英之[ニキヒデユキ]
1973(昭和48)年、大阪生れ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学。2年間を海外で過ごす。2006(平成18)年『夕陽の梨―五代英雄伝』で「歴史群像大賞」最優秀賞を、また同年『僕僕先生』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどり
5
第3弾。青木某については知らなかったな。井伏鱒二って長生きだったんだね~。この世界の文豪たちはそこそこに短命なイメージだったけれど。それだけ作品数が多いってことで、その中を旅すれば時代は明治大正昭和と3代、そこに震災や戦争が入ってきて、作品に影響しても仕方ないよね。2022/01/29
晴
2
井伏先生にフォーカスを当てた文アルノベライズ第3弾。自身の著書の潜書するが、物語は心の傷を抉るような世界に捻じ曲げられている始末。作家として大成せず、若くして亡くなった親友の想いが事態を引き起こしているかもと考えるが…というお話。相変わらず甘い幸せな世界(という名の幻想)を見せてくる侵蝕者が嫌らしいですねー 井伏作品はあまり読んだことがないので、読んでみたくなりました。特に『さざなみ軍記』『黒い雨』が気になりました。2022/04/24
風鈴
1
話としても面白かったし、キャラとしても萌えるし、史実とか文体もなかなか面白くて、最終的にマスジィイイイイってなりました。ありがとうございます。太宰がこれまでより大人びてて、本当にキミは太宰かい??と思ったり。割と近いとこに井伏邸も太宰の住居もあるのに行ったことねぇなぁ…と勿体無さを噛み締めたり。感謝しかない(単純)2022/12/27
のこ
1
前作も前々作も文アルの小説は読みましたが、今回のやつが読み応えで言ったら一番あったように思えます。何より世界観が面白かったです。ゲームでそこまで興味を引かれなかった井伏先生ですが、この本で好きになりました。あと太宰が良かった……ゲームともアニメとも舞台とも違う雰囲気を纏ってるのですが、ちゃんと太宰なんですよね。知的だけど愛らしくて好きです。
mitou umo
1
福山名誉市民の井伏鱒二のお話。元福山市民としては鞆の浦の仙酔島や加茂町などの地元トークが多くて嬉しかった。加茂の生家や荻窪の家も探しに行ったし(両方見つからなかったが)、天下茶屋にも行ったので結構聖地巡礼してるんだなと改めて思った。井伏や佐藤に対する太宰が飄々とした後輩という感じがして新鮮だった。岩野との関係や横光が同時代の作家であるなどの周辺知識も知れてよかった。井伏の作風についても繰り返し強調されていて未読の本も読んでみたくなった。2022/09/28