内容説明
論より吟行。たとえば冬の下関でふぐを食いながら俳句を詠む。たとえば秋の鎌倉で句会を催す。俳句にしても旅行にしても、そもそもは無用の用、だからこそ楽しく、しかし真面目にこれに取り組むべし。俳句とは必ず一つ季語が入り、五七五で成り立つミニ文芸であることをお忘れなく。―いずれおとらぬ俳人をゲストに、北へ南へ、あそびごころあふれる俳句ツアーへのご招待。
目次
冬の部(ひとひらのふくが青磁を離れたり;越前やとろりと青き冬の海;冬ざれの百万石のお庭かな)
春の部(つぎつぎに春の季題を食べにけり;筍にいま当りたる朝日かな;出刃1本発止と鰡を打ちにけり)
夏の部(稲妻も穂高も神の御意のまま;鮎の川すがたただしく流れけり;酌の指薄暮に白く鵜舟待つ)
秋の部(み仏のかんばせは青観月会;横綱がジャズ聴いてゐる夜長かな;秋の暮なまこ壁凝ッと動かざる)
新年の部(いま旅は大団円や初御空)