内容説明
史料「土芥寇讎記」―それは、元禄時代に大名の行状を秘かに探索した報告書だったのか。名君の誉れ高い水戸の黄門様は、じつは悪所通いをしていたと記され、あの赤穂事件の浅野内匠頭は、女色に耽るひきこもりで、事件前から家を滅ぼすと予言されていた。各種の史料も併用しながら、従来の評価を一変させる大名たちの生々しすぎる姿を史学界の俊秀が活写する歴史エッセイの傑作。
目次
徳川光圀―ひそかに悪所に通い、酒宴遊興甚だし
浅野内匠頭と大石内蔵助―長矩、女色を好むこと切なり
池田綱政―曹源公の子、七十人おわせし
前田利家―信長、利家をお犬と申候
前田利常其之壱―家康曰く、其方、何としても殺さん
前田利常其之弐―百万石に毒を飼うべきや
前田/利常其之参―小便こらえ難く候
内藤家長―猛火のうちに飛入りて焚死す
本多作左衛門―作左衛門砕き候と申されよ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
152
江戸時代に幕府の諜報活動により各地の殿様の実際を記したもの。何と言っても、現存するのは、一冊。それを読み解いたものである。確かにこういったことをするのは、力と謀略でねじ伏せて作った江戸幕府からすれば当たり前だ。前田家はやはりキーなのか。金沢にいった時に見たお寺は、忍者屋敷のようになっており、実際にはそこで戦いはなかったようだが、なんとも物騒だったのだなと思う。他にも通信簿をみてみたいとのさまはたくさんいるのだが…。どこかにないのかしら。2017/07/17
むーちゃん
129
殿様も平和ボケ、不摂生による不調があるんだなあと。 あと、やはり性欲凄い殿様たくさんいたんですね😅2020/07/13
優希
116
面白かったです。戦国末期から江戸時代中期にかけての殿様についての暴露本とでも言うべきでしょうか。同じ殿様でも、過ごした時期により雰囲気が全然異なるのが興味深いところです。江戸時代がマイブームなので、この手の本は読んでいて楽しいですね。もっと多くの殿様の紹介があったら良かったなとは思いましたが。2017/11/05
ゴンゾウ@新潮部
104
戦乱の世から太平の世へ移り変わる時、大名の価値観も変わっていく。いくさの恐怖がなくなり官僚支配になって行く。幕末の開国がなかったらどうなっていたんだろう。前田家が四国に国替えしていたら、この国の形は変わっていたのだろうか。だから歴史はおもしろい。 【新潮文庫の100冊 2017】2017/08/11
あきぽん
102
新潮文庫の100冊2017より。テレビで拝見する磯田先生は、なんと高校生の時から古文書を読んでいた!本書は戦国から元禄時代までの大名7名(有名どころ含む)を書いたエッセイで、それぞれ個性的で人間臭くめっぽう面白く、読み易い。そしてあとがきもすばらしい。歴史を知ることは現代を、自分を客観的に知ることである。2017/09/09