新潮文庫<br> 星祭りの町

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新潮文庫
星祭りの町

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  • サイズ 文庫判/ページ数 250p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101341071
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

両親を亡くし、江戸時代から続く七夕の町に疎開した三姉妹。次女・育子はそこで敗戦を迎え、進駐軍による町の変貌を目の当たりにする。私利私欲に走る軍人たち、米兵にぶら下がる厚化粧の女。日本はこのまま滅亡してしまうのか。それでも復興した七夕祭りに商店街は活気づき、賑わいが蘇る。自立の道を探しつつ、淡い恋に心ときめかす育子の青春の日々。著者の自伝的小説、第二作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shizuka

51
特に敗戦国になってから日本人の生活ががらりと変わったことは知っている。けれどここまで生々しく当時の気持ちを吐露している小説は初めてだ。かの日を境に信じていたことやものが覆され、真逆のことをしれっと信じろと言われても「はい、そうですか」とはいかないだろう。三姉妹の戦中、後の苦労話が軸ではあるが、所々に筆者の憤りが書かれていて唸ってしまった。もし当時がわたしの青春だったらどうやって心の折り合いをつけていたのだろう。日本人の多くが味わった挫折を思い遣るととても切ない。屈辱をバネに復興を遂げた日本人の底力に感服。2016/09/06

ぼちぼちいこか

21
著者の自伝的小説。福井県から埼玉県入間川町(現、狭山市)に親戚を頼り祖母と3人姉妹が戦禍を逃れて疎開していたが、そこで終戦を迎える。入間川町の終戦当時が赤裸々に書かれている。進駐軍の基地が町の様子、人々の生活が変わっていく。戦争の中の青春を送った著者の気持ちが痛々しかった。それでも戦争が終わったことで前向きに生きる気持ちが伝わってきた。読後のことを話していた父の事を思い出しました。2023/02/27

横丁の隠居

3
時代は日本の敗戦から4年間。入間川と東京を舞台に、当時の状況がつぶさに語られる。小説であるしそのままということはないだろうが、生き生きとした描写に嘘は感じない。今となっては貴重な記録と言えるだろう。敗戦とその後、作者は生き残っただけ幸運だったと言えるかもしれないが、一市井人の生々しい証言として読ませていただいた。2019/12/18

バーベナ

3
疎開先の入間は進駐軍により変貌し、戦後の情勢の中で紙幣価値も変わってしまう。何を信じて良いのかわかない混乱の中に居ても、育子の「芯」はしなやかで折れない。正直で頑固なくらいまっすぐだけど柔軟だ。それは自分の生活は自分で面倒みるということが、骨身に沁みているからだろう。2010/10/30

きりだんご🐱新潮部

1
●ブックオフ2018/11/02

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