内容説明
開通を待ちきれずに、青函トンネルや瀬戸大橋の工事現場に出かけて行く…。赤字解消のために工事が中断されたローカル新線の線路のない路盤を歩き、架空の時刻表を作ってみる…。その後、青函トンネルも瀬戸大橋も完成し、廃線寸前だった新線の何本かが営業を開始するなど明るい陽がさしてきた。鉄道ファンとして嬉しいかぎりだ。―転変著しい鉄道事情をルポした架空試乗記。
目次
陰陽連絡新線の夢と現実 智頭線
白き湖底の町にて 北越北線
建設と廃線の谷間で 三陸縦貫線
断層のある村で 樽見線
落日と流刑の港町にて 宿毛線
瀬戸大橋に鉄道が走る日
青函トンネル紀行
「三陸鉄道」奮闘す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
33
【古書】既に講談社学術文庫の全線開通版を持っていて読了していたにも関わらず、著者の他の古書を探して注文した時に誤って購入してしまった。だから、再読と言ってもいいくらいだ。今回は青函トンネルと海峡線の部分で、時代の流れを強く感じた。本書執筆当時、狭軌か標準軌かで列車の運用方法を考えていた著者だったが、まさか北海道新幹線開通のために、寝台特急・急行や在来線特急が廃止されようとは思っていなかっただろう。カバー絵が地下鉄銀座線の車庫前のようで、誤購入はそれが原因かも……んな訳ないか (^^;2016/05/26
yo27529
4
「最長片道切符の旅」を読んでいるので宮脇さんの本2冊目。相変わらずのものすごい知識に脱帽。沿線の状況から時刻表を自作してしまうんだから本物です。これにとりあげられた各線は、昭和55年の国鉄再建法案のあおりを受けて路線建設が中断された線ですが、今調べてみると第三セクターで生き残り、好成績を上げている線もあります。三陸鉄道だって震災後復活への道を歩んでいるのですから・・・。いったい国鉄とはなんだったのか、ＪＲ北海道をみても考えさせられるテーマです。2014/03/30
さっと
3
国鉄再編のあおりを受けて、工事中止の憂き目にあった地方路線の紀行＋瀬戸大橋・青函トンネルの開通前のルポ。工事中止とはいっても、あとは電線を架設して、レールを敷いてって具合なので、それまでにかけた工事費用はもとより、開通への地元の期待や用地取得のために強いた立ち退きの決算はどうするの？って感じで、当然、それを一番わかっている現場担当者・自治体首長からも溜め息が漏れる。ともあれ、本書でとりあげた路線はいずも第三セクターとして無事開業され、講談社文庫から「全線開通版」が出ている模様。この続編（？）も読まねば。2015/05/16
讃壽鐵朗
2
流石に眼の付け所が面白い紀行2014/01/08
rasty
2
智頭線、宿毛線は開通し、瀬戸大橋も青函トンネルも現実のものになりました。三陸縦貫線と北越線は第三セクターとして存続しています。後に出る『夢の山岳鉄道』とは違って、現実感のある読み物として楽しむことができました。むしろ、寝台特急‘アカシア’のロビーカーや仙台青森間の三陸縦断急行‘三陸’の夢とロマンを感じました。ご存命ならば、リニアの時刻表を引いてらっしゃる頃でしょうか。2013/02/12
