内容説明
呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋“弁菊”。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出遭いながらも、持前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。―戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。直木賞受賞。
著者等紹介
青島幸男[アオシマユキオ]
1932(昭和7)年、東京・日本橋生れ。早稲田大学第一商学部卒業。放送作家、作詞家、タレントなどさまざまな分野で活躍し、多彩な才能を発揮。’68年、35歳のときに参議院議員に当選。持ち前のセンスと反逆精神で政界にその存在感を示す傍ら、小説の執筆もはじめる。’81年、本作で直木賞を受賞。’95(平成7)年、東京都知事選に出馬し圧勝。2006年12月20日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
219
第85回(1981年)直木賞。 「意地悪ばあさん」で一世を風靡し、 1995年からは東京都知事も務めた青島幸男が 自分の母をモデルにして書いた 「女の一生」である。 戦中・戦後の下町に住む庶民の佇まいが 懐かしく蘇る.. それにしても 昭和の母ハナは強く たくましい。 ご近所との人情味溢れる交流も心に優しく 東京の下町の輝ける 本当に良い時代の 物語だった。2017/06/10
kaizen@名古屋de朝活読書会
161
直木賞】テレビでしか見たことがない青島幸男。テレビで見た感じでは、ひょうひょうと。書き物も標題のように駄洒落が効いている。直木賞受賞した当時、十年後の2度手に。記憶が薄れてきたのでまた。三度目の正直で記録。2014/05/09
新地学@児童書病発動中
111
直木賞受賞作。作者の自伝的な作品で、母親を中心にして物語が進んでいく。昭和期の良質なホームドラムを思わせる内容で、読みやすくてプロットも面白い。作者の実家だった弁弁当屋を四苦八苦して盛りたてようとするハナの姿が心に残る。夫の浮気、姑との確執、店舗の経営などハナにいろいろなことがのしかかる。その中で一番苦しいのは、夫を兵隊にとられることだ。彼女は夫の無事の帰還を必死に祈る。ハナのような思いをした人は、当時の日本に大勢いたのだろう。庶民の喜怒哀楽をきめ細かに描きながら、平和の尊さもさりげなく教えてくれる傑作。2018/02/02
JUN
23
人情味あふれる下町物語。主人公のハナの視点で、物語が進行していく。旦那の次郎みたいな自分勝手で、ハチャメチャな人も、この時代には多くいたのだろうか?2017/05/29
背番号10@せばてん。
21
【1981_直木賞】1995年8月26日読了。作家、俳優、作詞家、放送作家、映画監督、国会議員ほか、さまざまな肩書のある青島氏ですが、なかでも東京都知事が最もキャラから外れていたように思うのは自分だけでしょうか。1995/08/26
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- 和書
- 新編山と渓谷 岩波文庫