内容説明
前一世紀初頭、ローマは内外で混迷の度を深めていた。同盟者戦役に続き、小アジアではミトリダテス戦役が勃発、ローマも内乱状態に陥る。戦役に勝利した名将スッラは反対派を一掃。前81年、任期無期限の独裁官に就任し、ローマの秩序再建のため、国政改革を断行する。しかし「スッラ体制」は彼の死後間もなく崩壊。この後登場するポンペイウスは、ローマの覇権拡大を果たしたが…。
目次
第2章 マリウスとスッラの時代(承前)(紀元前一二〇年~前七八年)
第3章 ポンペイウスの時代(紀元前七八年~前六三年)
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感想・レビュー
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ehirano1
141
スッラには、「もはや彼の行くところならば地獄にでも従いていくと決めている三万五千の兵が従う(p43)」、と。スッラの不動の精神的、実行力、軍略、政略、戦略、リーダーシップ等を見れば、“スッラならば地獄でさえも平定したかもしれない”と思わせてくれます。そりゃあ地獄でも付き従って行く部下がいても不思議ではありませんね。また、スッラの回想録は読んでみたかったです。2017/03/05
ヴェネツィア
128
ここまで続いてきた共和制による元老院体制も、もはや「古い革袋」となったようである。スッラによって再構築がなされたとはいえ、それは紀元前1世紀という時代には耐えられなかった。そもそもスッラが元老院体制の再建をなしえたことでさえ、自ら異例の独裁官に就任することによってはじめて可能になったのであり、そこには本質的な矛盾があった。ポンペイウスを経て、終身独裁官カエサルの時代、そして彼の死後、ローマはオクタヴィアヌス(アウグストゥス)による帝政へと移行してゆく。カエサルだけはその後のローマを見とおしていたのだろう。2012/11/04
レアル
104
前巻の「ハンニバル戦記」と違い、英雄と呼ばれる人の登場もないし、物語としても内粉の話が多く、地味な感じもする。しかし貧富の格差や失業問題の話は興味深い!次巻はあのシーザーことカエサルが登場。。楽しみ!2013/10/17
ケイ
94
小アジアでは、ミトリダテスがローマに対し、やっかいな戦争を起こす。このミトリダテスは、ローマの足元が危うい時期を見逃さず、何度も揺さぶりをかけるような行動を起こす。この巻最後に紹介されている彼の手紙を読むと、時勢を見るに長けた人であったようだ。そして、ローマ内では奴隷のスパルタコスの乱が起こる。ローマは、漸く平定するも、スパルタコスは何処へ…。名将スッラ亡きあとは、ポンペイウスが徐々に力を持っていき、ローマを悩ます海賊退治にも出かける。シーザーはこの頃、20~30代である。2014/10/15
優希
85
紀元前1世紀初頭になると、ローマは内外で混迷に陥ったようです。内乱状態に陥ったローマで、マリウスに勝利したスッラ。独裁官となり、国政改革を行い、秩序を再建するも死後敢え無く崩壊。だからこそポンペイウスが覇権拡大を成し遂げられたのだと思います。この時代は勝者となっても混迷に陥る運命が待っていたのかもしれませんね。2018/04/09