内容説明
紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国にとって無視できない存在になっていた。そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。ローマは建国以来初めて、海を渡っての兵の派遣を決める。しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していた―地中海の覇権を巡って争われ、戦争史上に残る大戦「ポエニ戦役」、その前半戦を描く。
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月7日、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。92年より、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」にとりくむ。93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
164
ここから3巻は、『ローマ人の物語』序盤の華「ハンニバル戦記」だ。全編を通しても、「ユリウス・カエサル」に次ぐ面白さだろう。ただし、序章にあたるこの巻には、まだハンニバルは登場して来ない。彼の父親のハミルカルと、それ以前の時代だが、地中海の覇権をかけて、ついにローマとカルタゴが第1次ポエニ戦役を闘うのだ。この時から、陸の王者であったローマも海軍を持つことになった。「カラス」の発明など、前半は躍動感に溢れるが、それだけにローマ軍団の説明となる後半は、幾分かの退屈は免れない。しかし、いよいよハンニバルの登場だ。2012/09/10
ehirano1
161
第一次ポエニ戦役は確かに面白いです(カラスは誰が考案したのでしょうか?これはすごいです!)、しかしそれ以上に第一次ポエニ戦役“後”の記述が興味深かったと思います。特に、“ローマ軍団”については初めて知ることが多くあり、仕事上参考になる箇所も見受けられました。さて、それでは、大多数が起こるとは思っていなかった第二次ポエニ戦役(著者はそう言っています)の中巻へ!2016/10/04
アキ
118
COTEN RADIOでハンニバルを聴いたので、ハンニバル戦記(上)を読んだ。地図でカルタゴとシチリアとイタリア半島の距離がよくわかる。第一次ポエニ戦役前には地中海の制海権と商圏を握っていたフェニキア人の植民都市カルタゴがローマより力があった。シチリアはパレルモを含む西側をカルタゴが、東側はイタリア半島に近いメッシーナとシラクサがそれぞれ支配していた。紀元前264〜241年までの第一次ポエニ戦役でローマ軍は海軍を作りカルタゴに勝利した。ハンニバルの父親ハミルカルは息子に生涯ローマを敵とすることを誓わせた。2023/06/15
優希
110
ハンニバル戦記というタイトルですが、まだここではハンニバルは登場しておらず、メインとなるのは第一次ポエニ戦争。カルタゴを相手にできるほど、ローマも大きくなっているのですね。戦の行方はどうなるか、続きを読みます。2018/01/21
レアル
107
ハンニバル戦記を上・中・下巻と3冊に分けて書かれてある上巻。こちらは(第一次)ポエニ戦役。シチリア島を舞台にローマ対カルタゴの戦争が始まる。当然ながらハンニバルはこの頃やっと産まれたばかりくらいの時期なので物語には登場しない!海戦がポイントだったが、面白くなってきた!父の雪辱に応えるハンニバルに期待。2013/09/16