内容説明
暴君信長のむごい仕打ちに耐えかね、ついに明智光秀は織田家に叛旗をひるがえした。しかしその天下はあまりにも短く、玉子は逆臣の娘として苦難の日々を過ごすことになった。父母一族は亡び、夫や子とも引き裂かれた玉子は、秀吉のキリシタン弾圧の中、洗礼を受けることを決意する…。強者の論理が支配する時代に、命をかけて信念を貫いた細川ガラシャの生涯を描く感動の歴史ロマン。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
348
凄い小説!戦国の世の、女というだけで降りかかる理不尽、不自由に悩みながらもやがて信仰というよすがを得、凛とした生涯、凄絶な最期を全うした玉子こと細川ガラシャ。その人生と葛藤を紡ぐに三浦綾子さん以上の適任者はいない。まるでガラシャがその身に宿ったかのごとき臨場感。しかも読みやすい!お家のため、女というだけで降りかかる理不尽、不自由。主君を討った光秀の娘である玉子(後のガラシャ)は山奥に幽閉され、我が人生を考える。佳代と右近の誇らしい程の生き姿勢に心揺るがす下巻。愛と信仰を貫いたガラシャの生涯に、合掌‼️🙇2020/06/10
ちょろこ
146
堪能した、一冊。下巻は特に玉子の目線と心情を中心に描かれる戦国の世。道具、捨て駒として扱われるのが当たり前の時代。女性達の諦めとも言える人生の中で、玉子の芯の強さ、凛とした姿は胸をうつ。父母、一族を喪い忠興しか心を頼れる人はいない。なのに「美しい」という言葉しかもらえない侘しさ。ここに涙と共に一番寄り添ってしまった。次第に高まる信仰心。息をのむあの瞬間、玉子の祈りが心に、白無垢と真紅の血がまぶたに焼きつく。彼女の尊い命が動かした幾人もの心に涙と吐息。歴史の一端、一人の女性の生き様、全て堪能した。2020/06/17
aoringo
92
ついにおきた運命の本能寺の変。城から離れ山深くに幽閉される玉子。その間に夫忠興が側室を置いていることを知り傷つき、キリスト教に救いを求める。壮絶な最期まで信仰に生きる姿に鳥肌が立ちました。異常に嫉妬深い忠興の悪いイメージもちょっと変わったかな。「苦難をよろこび、感謝する」なかなかできることではない。三浦綾子さんのガラシャを読めて良かった。2020/03/14
takaC
90
激動する歴史。懊悩する玉子(=伽羅奢)。下巻のこの内容だからこそこの『細川ガラシャ夫人』というタイトルなんですね。とか考えたけど単行本出版時は上下巻ではなかったので当たり前のことか・・・2014/10/27
優希
70
織田家に叛旗をひるがえした光秀。玉子は逆臣の娘として苦難の日々を過ごすことになります。運命の歯車はきしんだと言えましょう。だからこそ玉子は秀吉のキリシタン弾圧の中、洗礼を受けることを決意したのだと思います。玉子にとって苦しい世の中が信仰の道に入ることは宗教が彼女の拠り所となったからですね。キリシタンになって救われたに違いありません。だからこそ明智の辛く苦しい最期や夫・忠興のもとに留まることを受け止められたのだと思います。最期まで命をかけて信念と信仰を貫いた姿は感動します。下巻が全てを物語ってるのですね。2014/11/16