内容説明
子供ごころに両親の不仲を感じとっていた瑤子は、父の愛情に育まれ、工芸デザイン科に進んだ。大学卒業と同時に母は弟をつれて家を出た。それから10年、父と娘の生活に終りがくる。複雑な過去をもつ彫刻家の作品に圧倒され、いつしかその男の生き方を愛した瑤子。父を捨てたように、愛する男から今捨てられようとしている…。愛情と芸術の間で、自立してゆく女流彫刻家を描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
77
柴木さんの作品は初めてですが、何でもない日常の中に喜怒哀楽とささやかな暮らしがあることを感じさせてもらえた。今のように様々な便利器機が出てくるわけではないからとても静かに時間が過ぎていく。昭和時代…今よりとっても静かだったろうな。人は打ち込めるものがあるとないとでは心の厚みも違ってくる。家族のつながり、人の思い…懐かしい気持ちになる1冊。2013/10/24
やどかり
8
これは子の親からの独立、巣立ちを描いてるのだろうか。。瑶子が身勝手に見えてならなかったし、これが巣立ちなら残念な結果に思える。芸術の道を進む自分を持った女性に見えていた瑶子が、萩生と出会ってからは一転愚かな女性にしか見えなくなってしまった。2013/12/17
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
4
たった30年で日本は、日本人のありようは、こんなにも変わってしまったのだろうか?2015/01/24
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
2
1998年8月8日
風祭
1
まあまあ。親を捨てたのではなく、ただの自立じゃないかなと思ったが、昭和62年の作品なので今とは違う感覚で書かれたんだろう。2023/03/12