• ポイントキャンペーン

新潮文庫
完全な遊戯

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101119113
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

『太陽の季節』で既成文壇に敢然と挑戦した著者の、同時期の傑作を集めた短編集。不良少年たちが、精神を病む女を弄び、海に突き落とすまでの無軌道ぶりを描く表題作。賭場の若い女の豪胆な賭け方に魅せられた男が語る「乾いた花」。鱶の化身のような女と少年の交流を幻想的に描いた「鱶女」など5編。他に弟・裕次郎の出世作となった映画「狂った果実」の原作を特別収録する。

著者等紹介

石原慎太郎[イシハラシンタロウ]
1932(昭和7)年、神戸市生れ。一橋大在学中の’55年、「太陽の季節」で文学界新人賞受賞。翌年、同作の芥川賞受賞は、その倫理性等々をめぐって社会的事件となった。’68年、参議院選に全国区から立候補、最高得票で当選。その後、衆議院に移り、’99(平成11)年より東京都知事。他の作品に『化石の森』(’70年刊、芸術選奨)、『弟』(’96年刊、毎日出版文化賞特別賞)等がある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

109
表題作は反道徳性を極限まで押し進めた一方で、リズミカルな場面の流れと抽象的で澄んだ表現が一つの結実を見せた創作の到達点。このあらゆる読み手を思いっきり篩に掛けた作風の根底には、著者の並ならぬ自信が現れているように思う。狂女が見せる僅かな感情の揺れを除いて人間らしい関係は微塵もない、この「完全」を求める途方もない空虚感にはそれが決して満たされずに欲望だけが独り歩きする荒廃した社会の行く末を重ねるかのよう。『狂った果実』など、他の収録編にも共通した要素を感じる。彼は挑戦の手法に至るまで前衛的な人だったと思う。2018/03/26

Kajitt22

27
10代後半、この『乾いた花』にのめり込んだことがあった。ペシミスティックな男と女、ひりつくような賭場の描写。アラン・ドロンのフィルムノワール『サムライ』同様打ちのめされた。あれから麻雀や競馬をやり、一時運の流れが掴めたと思ったこともあったが、やがて負けがこんで博才のなさを悟り、いまはうっちゃっている。数十年ぶりの再読だが、著者20代でこの短編を書くとは。政治の世界に足を踏み入れなければもっと素晴らしい作品を残していたかもしれない。追悼。2022/06/24

くろまによん

7
やたら頁がスカスカな印象。プロットを進める文章が続いている。あんまり心情を描写しないで、読者の想像の幅を広くさせるためか。ストーリーとしてやってること自体はもう時代の流れに耐えられなくなって陳腐だけれども、仕組みというか、書き方自体は面白いなぁと思う。2014/07/28

そうたそ

7
★★★☆☆ 慎太郎氏の初期の作品における「エロ率」「ボクシング率」「ヨット率」高すぎ(笑)表題作は至る所で酷評されているが、個人的にはそれほど悪くないと感じた。所々に若気の至り的なものを感じるが、タイトルを見ていただければわかるが「完全な」遊戯なのである。秩序も規制もない状態で起こされる悲劇とは何たるや。様々なものが排除された結果としてのラストはあまりに無味乾燥に感じられた。作中の事件そのものが倫理的にどうかということは別として。「鱶女」はまた変な作品書いたな、と思いながら読んだが割と面白い。2013/02/21

ふがし

6
初めて石原慎太郎の作品を読んだ。時代や当時の風潮を抜きにしては評価できないのでは、と思った。2010/11/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/39100
  • ご注意事項