感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
10
短編35話。戦後まもなくの、とある地方都市にある会社の社長の話。呑気で底抜けに明るくて単純でお人好しで恐妻家で人情家。つまり好人物。そしてそんな社長が大好きで盛り立てたりフォローしたりする社員とその妻たち。まあ、植木等的世界観。例えば、仲人趣味の社長夫妻のために、微妙な関係の若い男女社員をおだてたり煽ったりして結婚にもちこむ人事課長とか。とにかく他愛ない。他に長期療養中の社員のためにあえて会社規定を改訂したりなど人情味溢れる処置をしたりする。不道徳な小説ばかり氾濫する今、善人ばかりの世界で癒される作品集。2021/10/19
遥かなる想い
4
読んでいて 楽に楽しく読める本。 元気になるのがよい。源氏鶏太のこの話は 一般社員がいきなり社長になるという設定で あり得ない話だけに 気楽に読めた。 映画化もされ 森繁久彌が演じていたように思う
がんぞ
3
南海産業なる会社は関西が本社で「本業では一流」ではあるが、社長が《公職追放》にかかり、昭和25年、三等重役が社長をしている。追放解除になるが前社長は脳溢血をおこして現場に復帰できない。無能でも務まるのんびりムード。社長は社内結婚を奨励し十組をまとめ仲人として参列などが主な話題と言う暢気さ。銀行とかライバル社とかの影も見えない。創業35周年と《講和祝賀》で金一封を出して祝賀会をする場面あるから、朝鮮戦争特需で益々発展した頃だろう。“東京進出”で接待をする程に東西の格差小さい。なお、関西弁は一切使われていない2014/08/10
ツカモトカネユキ
2
短編35本からなる本作。著者お得意の戦後間もないサラリーマンもの。 一話完結に近い形で進行していき読みやすかったです。 話の筋も作名の三等重役たる桑原社長と浦島課長との掛け合いから進行し「チャンチャン」の形で締めくくられ好感が持てます。 70年たった今とは隔世な部分もありますが根本は同じ部分を感じさせます。 昔の喜劇好きにはうってつけの作品です。2017/12/10
いえろう
2
コミカルで愛すべきサラリーマン小説。淡々とストーリーが進んでいるようで、言葉のひとつひとつに優しい気持ちが含まれていた。2015/02/11