出版社内容情報
崩される完全犯罪!! 消えた結婚の夢。そのとき年増女は復讐を決めた――。傑作短編11編。
途方もなく膨張し、混乱し、錯綜した現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあうさまざまな犯罪。その陰に澱む愛憎と執念――狂気を装い、法の網の目を潜りぬけようとする男、交通地獄という世相の盲点を巧みに利用した殺人、猟奇事件の影に踊る札つきの不法建築業者、北国の闇を引き裂く夫婦殺害事件……。死神に捉えられ、破滅の深淵に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
68
2014.01.07(01/07)(再読)著。 (解説=中島河太郎) 清張の作品なら目を通すが、だからといって、他の作者の推理小説まで触手を伸ばさないという読者は多い。 M20年代、黒岩涙香。 硯友社(尾崎紅葉が盟主)は、涙香を目の敵にして、探偵小説退治に乗り出したほどだ。 しかし、涙香の創作、『無惨』は当時の読者に理解されず一編で終わった。 2014/01/07
i-miya
44
2014.02.27(02/07)(つづき)著。 02/26 (P284) (解説、中島河太郎、つづき) 即戦即決主義を取らない清張。 犯人が逮捕されるのは、わずかに『偽狂人の犯罪』だけ。 犯人側から物語が始まる展開。 『偽狂人の犯罪』・・・精神分裂症を装う。 信徒間の共同防衛意識。 同一パターンを避ける。 ◎『交通事故死1名』 1.東京の西郊外に延びるI街道という古い街道がある。 鎌倉に通じた道。 激しくなった自動車の通行。 早春、午後九時過ぎ、3/10。 2014/02/27
ナキウサギ
37
枝と呼んでいいのだろうか。死に至るまでに広がるのヒトの気持ちの枝分かれ。真相を掴むために分かれていく情報や証言の様を枝と見るのか。実に簡単な盲点を容易に!軽快に!書き下ろしている。次から次へと進む短編は、曲がって伸びる枝みたい!振り回されてなんだなんだと言う間に読み終えた。2023/01/20
達ちゃん
32
バラエティに富んだなかなか渋い短編集。どの話もラストがたまりません。2021/09/05
Yu。
32
これでもう逃げ切れる‥ その筈だったのに些細な事がキッカケで奈落の底へと落ちてゆく11編の倒錯劇場。。おもしろい!!どの物語も皮肉に満ちた苦味がたまらない‥ お気に入りは、詮索好きが犯した犯罪をさら成る詮索好きが掘り返す「史疑」。建売屋の裏事情と猟奇殺人とを絡ませたそれは恐い怖い犯罪劇「不法建築」。両親の秘密は今の自分「入江の記憶」。2018/10/15