内容説明
超ドライなマティニーを好む男が、とても粋なように、はかなげな微かな残り香の女は、人をひきつける。女が香水くさいといわれるのは、恥だと思う。贅沢な女の時間は、たとえば、ディナーに招かれたその日、夕刻からたっぷり時間をかけて無心に化粧をしている時。自分が女になっていく過程が、私は好きだ…。作家になり、華麗な生活を実現させた森瑤子の、愛のラストメッセージ。
目次
マスカレード
マニキュアをつける時
旅へ
ラストメッセージ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みどり
15
なんというか、飛び込みで身内だけのライブに行ってしまい、わたし以外はみんな信者、みたいな読書だったな。エッセイはその人のことを知ってから入ったほうがいいかもしれない。「主婦はつまんないから自分の話題を持て、男と張り合うな、おんなを捨てるな」とバリキャリに叱られているみたいな気持ちがした。心が疲れてるのかな?わたしは今わたしにできることを精一杯することにする。「およそ三時間ばかりのこの時間を私は『女の時間』と称して、それは楽しんだものだった。自分が段々と主婦から女になっていく過程が好きだった。」フム2017/12/11
Salz
2
ピーコの解説も光る文庫。マティーニにおけるベルガモットの量から、香水の付け方へつなげるなんて、森瑤子だからだ。この人は、プライベートもエッセイも境目がないし、同じテーマで何度もかいているし、小説も似たものが多いけれど、この本は絶筆とは思えない静けさと冴えぶりだと、思っています。
みー
1
憧れるなあ。 彼女は自分に自信があったのではなく、自信があるふりをし続けていたのかとおもう。 2019/12/07
ココマ
1
行間から、深い気苦労が伝わってくるような気がした。もう日本で、森さんのような、ゴージャスで知的なマダムはなかなか現れないと思う。2010/07/27
aoko
0
実家に置きっぱなしだった私の昔のコレクションから。 かっこいい女性や粋な大人の女性とはこういう人、という確固たる考えが伝わってくる。「風と共に去りぬ」の続編、「スカーレット」を翻訳したときのエピソードが載っていたけれど、翻訳の範疇を超えていてびっくりした(楽しんで読んだ気はするけれど)。2017/08/01