新潮文庫<br> 秀吉と利休 (改版)

新潮文庫
秀吉と利休 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 457p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101044026
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キジネコ

52
太閤秀吉を英雄としてではなく、茶聖利休を探道者としてではなく物語は終始します。描かれるのは人間のエゴです。歴史に残された爪痕は時経て歩む私達に口を重く堅く閉ざし、そこで実は何が起きていたのか?この二人の偉人の間で交差した熱が何故に其の結果を選択させたのか、謎は否応なく読者を惹き込みます。美の平衡の鑑識者として自負を誰よりも強く持つ利休は心底の闇中に成上り者秀吉への侮蔑を抱えています。天下と自身を呼ばせる秀吉は権力の頂点の自賛の蠱毒渦中にあって或る負けめを抱きます。二人が恰も光と影の様に、表裏成した蜜月…☞2020/10/19

はるほのパパ

16
利休関係の本は数冊読んだので結末はわかっているつもりだが、「利休にたずねよ」と「・・・その妻たち」などの他にはない細かな心理描写でこれも名作である。 紀三郎が架空の人物と知って少し戸惑いがあったが・・・。 順序としてはこの作品を最初に読まなくて良かったと思うのは私だけかな・・・。2016/06/11

まみ

11
利休、そして秀吉、山上宗二を描出した実に素晴らしい作品で、作家野上弥生子さんの力量に打ち震える。水尾比呂志氏の解説がまた明快で、そこに作品中に虚構の人物があることに触れてなければ、すべてが史実のように受け止めてしまうほどに、筆力が圧倒的でのめり込んでしまう。それほど、利休を死に至らしめる種々の工作や心の葛藤、力関係のかけひきに説得力があった。「唐御陣が、明智討ちのようにいけばでしょうが」という言葉を利休に言わしめた作家の構想力が光る。2020/03/07

ムカルナス

10
秀吉にとっては政治でも茶の湯等文化面でも欠かせない利休であり、利休にとっても自らの美の世界を表現する場を与えてくれる権力者・秀吉は不可欠な存在。しかし、お互いに憎悪に近い嫌悪感をも抱いている。そんな危うい関係に利休を邪魔な存在とする三成によって亀裂が入り、利休は堺に追放される。それでも、どちらも最後まで関係の修復を願っていたのに・・山上宗二の悲劇や政権に媚びへつらう父に反抗する息子の心情なども織り交ぜて話は進行し、利休の実像や切腹の真相はこうだったかもしれないと思わせ読み応えがあった。2022/04/16

Ribes triste

10
小田原征伐前から利休の死までの物語。利休がそこにいて呼吸をしているようでした。利休がなぜ死を選んだか。読者に想像させる余韻を残してあるのが、この物語の深みだと思います。長い間、読みたいと思っていた本が読めました。2019/01/11

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