消された信仰―「最後のかくれキリシタン」‐長崎・生月島の人々

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  • サイズ B6判/ページ数 255p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093886215
  • NDC分類 198.221
  • Cコード C0095

出版社内容情報

新・世界遺産から黙殺された島があった!

250年以上も続いたキリスト教弾圧のなかで信仰を守り続けた「かくれキリシタン」たち。その歴史に光を当てようとしたのが日本で22番目の世界遺産となる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」だ。

ところが、PRのために長崎県が作ったパンフレットからは、「最後のかくれキリシタンが暮らす島」の存在がこっそり消されていた。

その島の名は「生月島(いきつきしま)」。

今も島に残る信仰の姿は、独特だ。音だけを頼りに伝承されてきた「オラショ」という祈り、西洋画と全く違う筆致の「ちょんまげ姿のヨハネ」の聖画……取材を進める中で、著者はこの信仰がカトリックの主流派からタブー視されてきたことを知る。一体、なぜ――。

第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作。選考委員激賞!

◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「世界遺産の意義とは? キリスト教とは何か? 奥深い問いを投げかける作品だ」

◎三浦しをん(作家)
「いまを生きる『かくれキリシタン』たちの生の声が胸を打つ。綿密な取材に感動した」

◎古市憲寿(社会学者)
「『ちょんまげ姿のヨハネ』をはじめ、謎めいた習俗を紐解く過程が抜群に面白い!」

【編集担当からのおすすめ情報】
「かくれキリシタン」を描いた作品では、作家・遠藤周作氏の小説『沈黙』があまりに有名です。

“弱き転び者”に寄り添う作品を世に送り出した遠藤氏は、生月島で信仰を守り続ける人たちをどう見ていたのか。この点についても、著者は意外な事実を明らかにしていきます。

序 章 ちょんまげ姿の洗礼者ヨハネ
第一章 蔑ろにされた「聖地」
第二章 とても長い祈り
第三章 受け継がれる儀式
第四章 「かくれキリシタン」か「カクレキリシタン」か
第五章 壊し合いの歴史
第六章 「復活」を選ばなかった理由
第七章 バチカンからの視線
終 章 信じ続ける意味は

広野 真嗣[ヒロノ シンジ]
著・文・その他

内容説明

新世界遺産から黙殺された島があった。長崎「潜伏キリシタン関連遺産」。カトリック史の「重大タブー」に迫る!第24回小学館ノンフィクション大賞受賞作!

目次

序章 ちょんまげ姿の洗礼者ヨハネ
第1章 蔑ろにされた「聖地」
第2章 とても長い祈り
第3章 受け継がれる儀式
第4章 「かくれキリシタン」か「カクレキリシタン」か
第5章 壊し合いの歴史
第6章 「復活」を選ばなかった理由
第7章 バチカンからの視線
終章 信じ続ける意味は

著者等紹介

広野真嗣[ヒロノシンジ]
1975年、東京都生まれ。ジャーナリスト。1998年に慶應義塾大学法学部法律学科卒業。神戸新聞社記者を経て2002年に猪瀬直樹事務所にスタッフとして入所、データマンとして活動する傍ら、2007年より石原都政、猪瀬都政で東京都専門委員。2015年10月よりフリーランスとして独立。2017年、『消された信仰―「最後のかくれキリシタン」‐長崎・生月島の人々』で第24回小学館ノンフィクション大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

96
今年、世界遺産に登録された長崎の教会。しかし、登録の際に「今まで捉えられてきたかくれキリシタン像と異なる」という理由で触れられないようになってしまった信仰の形があった。生月島の人々の信仰は閉じられた空間における生活と仏教が密接に繋がったものだった。しかし、時代の推移や「かくれキリシタン」である事の差別意識、復活したカトリック信仰との優越関係などによる溝などによって信仰を受け継ぐことが困難になっている事実がある事を忘れてはならない。遠藤周作が転んでも信仰を密かに守り続けた人々に対しての厳しい視点には凍りつく2018/09/15

ハイランド

68
宮崎賢太郎氏の「潜伏キリシタンは何を信じていたのか」を読んだときに感じた違和感を追及してくれた。今も四百年前からの信仰を守り続ける生月の人々を取材し、その意味と価値を明らかにしようとしている。彼等の信じるものを一民間信仰に過ぎず、キリスト教と似て非なるものと切り捨てた氏に対し、筆者は布教当時のカトリックの姿を留めている部分もあり、地域の生活と密着する形で続いてきたのだと述べる。そして幾度かのカトリックへの復活の誘いも拒否し、信仰を守り続けた意味とは何か。世界遺産登録に際しなかったものとされてしまった信仰。2018/09/07

それいゆ

45
世界遺産への登録には有形の景観、遺跡、建物が存在することが条件なのだと理解しています。大浦天主堂に代表される「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成遺産の中には、生月島のかくれキリシタンが信仰対象にしている殉教聖地を含む「平戸の聖地と集落」がありますが、それは有形遺産に限られるということなのでしょう。代々家族を通じて伝えられてきた「祈りのかたち」という無形の遺産の方が、他のどの有形遺産よりもはるかに価値があると思います。その信仰の形が今や消滅しようとしている。残念でなりません。 2018/06/24

おさむ

39
今年、世界遺産に登録された、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産。その過程で、外された生月島の「カクレキリシタン」の謎を追う。江戸時代に仏教との共存を余儀なくされたためにその内実が大きく変容し、もはやカトリックとは異なるもの「土着した民俗信仰」になってしまったというのがその理由。あの遠藤周作さんも冷ややかな見方だったのだそうだ。江戸期までを「潜伏キリシタン」、キリスト教が認められた明治期からは「カクレキリシタン」と呼び、区別しているという。とても勉強になる本でした。今年の小学館ノンフィクション大賞作。2018/08/08

007 kazu

38
世界遺産にも登録された長崎の「潜伏キリシタン」関連遺産。その中から零れ落ちた離島生月島の信仰を追う読み応えのあるドキュメント。現代も辛うじて残る隠れキリシタン達の信仰の実態を伝える冒頭だけでも十分に面白いが、ちょんまげのヨハネ画に象徴される禁教期の隠れキリシタンの実態、明治時代の「信徒発見」後にもカソリックに改修せずに「隠れキリシタン」であり続ける生活と結びつき、そこから変わらない信仰の実態を分析している。人によっては物足りないかもしれないがアカデミックな部分を残しつつ、読みやすさを重視した良著。2019/07/25

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