出版社内容情報
後醍醐天皇方として鎌倉幕府を滅ぼし、のちに足利尊氏・直義と激闘を繰り広げた新田義貞。鎌倉末?南北朝時代に歴史の表舞台を駆け抜けた『太平記』の雄、その劇的な生涯を描ききった傑作歴史小説。
内容説明
暴政を為す幕府を倒し、帝の親政を実現せよ―。太平記の雄・新田義貞の劇的な生涯を描く傑作長編!
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校機械工学科卒業。東京都大田区役所勤務、後に区立図書館司書を経て、1990年『血の日本史』で単行本デビュー。2005年『天馬、翔ける』で第一一回中山義秀文学賞を受賞。2013年『等伯』で第一四八回直木三十五賞を受賞。同年、第七二回西日本文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
84
傑作歴史小説・・ん~ん、かなりの厚さとお値段の割には・・の読後感。何も胸をうつところは無い!と辛口御免。足利氏とか鎌倉時代はちょっと苦手だったので手にしたのだが、義貞に魅力を感じられない。と云うのが一番の難だった。阿部作家、次はどんな『手』を打ってくるか、そちらを待ちたい。しかし・・私の時間を返して・・(汗)まぁ、こんな時もあるから読書はやめられないのだなぁ。2015/11/21
まちゃ
74
新田義貞については名前ぐらいしか知りませんでしたが、本書では後醍醐天皇の皇子・大塔宮護良親王に心酔し、帝の親政による新しい秩序の確立のために戦った義に厚い武将として描かれていました。安部さんの文章は読み易くて好きです。しかし、今回は新田義貞にそれ程魅力を感じることができませんでした。結末がもう少しドラマチックでも良かったかもしれません。2016/07/02
reo
38
1336年夏、二条河原にこのような落書が掲げられた。現代語訳「最近都で見る物は、人の寝込みを襲う者。刃物かざして脅しつけ、有り金身ぐるみ奪う者。帝の偽の命令書。緊急招集よくかかり、使いの馬もバタバタと。しらけた喧嘩はそこここで。生首見慣れたものになり。昨日の僧がもう俗人。出家も何もありゃしない。急に羽振りがよくなる奴。落ちぶれ路頭に迷う奴。おべんちゃらやら悪口の才能だけはある奴や、ぽっと出の馬の骨…」まだ延々と続く。680年前の落書だがこれをみると人は殆ど変わってないネ。この本で太平記が少し分かったかも。2017/02/11
だまし売りNo
36
本書の義貞は爽快感があり、物語の主人公らしさがる。義貞は六波羅探題によって冤罪で投獄される。冤罪が明らかになると「探題さま、検断さま、それに俺を連行した石見彦三郎という方にわびを入れてもらいましょう」「人の言い分を何ひとつ聞かずにこんな仕打ちをされて、黙って引き下がれるか」と主張する(94頁)。冤罪を有耶無耶にしがちな日本社会で義貞の台詞は輝いている。2022/11/02
ちゃま坊
30
太平記の好きな場面は新田義貞の挙兵から鎌倉幕府滅亡のあたり。関東には新田氏ゆかりの地も多い。久米川古戦場、分倍河原古戦場、鎌倉稲村ケ崎、を歩いたことがある。分倍河原駅前には戦う義貞の銅像がある。義貞の死後、旗を受継いだ次男新田義興のその後の物語は、東京大田区の新田神社を訪れて知った。太平記は明治維新の尊王思想に影響を与えるが、足利尊氏を西郷隆盛に重ねて読むと、なるほど状況は似ている。2019/06/20