集英社文庫<br> ママ・グランデの葬儀

集英社文庫
ママ・グランデの葬儀

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  • サイズ 文庫判/ページ数 250p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087600797
  • NDC分類 953

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

145
表題作を含む9つの短篇を収録する。物語の舞台はいずれもマコンドとその周縁であり、その意味でも『百年の孤独』との親縁性は大きい。私は、荒唐無稽な(これもまた、ガルシア・マルケスの特質の一つではあるのだが)「ママ・グランデの葬儀」よりも、作家が極貧の中で11回も書きなおしたという巻頭の「大佐に手紙は来ない」のリアリズム系列の方を取る。ここにあるのは15年間も諦めない執拗さと、それとは矛盾するようだが、願望が実現しないことを知っている諦念とが共存する。そして、その底流にあるのは「ここではないどこか」への想いだ。2014/01/20

HANA

62
著者が得意とするマジックリアリズムは抑え目であるが、その代わりラテンアメリカ小説が自家薬籠中の物とする政治や貧困といった問題が、どの作品にもべったりと張り付いている。一番感銘を受けたのは何といっても「大佐に手紙は来ない」。いつまでも来ない恩給を待ち続けるその姿は『タタール人の砂漠』を思わせるので、ある一定以上の年齢の人間には非常にきつい読み心地となっている。「火曜日の昼寝」や「この村に泥棒はいない」も人生のやるせなさが表に出ているような作品で。マジックリアリズム系よりこういった話にむしろ興味を惹かれるな。2019/07/28

metoo

59
短編9篇全て「百年の孤独」のマコンド王国に繋がっている。「百年の孤独」は未読なので読む順番を間違えたかと調べたら、本作の「大佐に手紙は来ない」「ママ・グランデの葬儀」いずれも「百年の孤独」の前に執筆されたのを確認した。とすると、これら短編は「百年の孤独」の予告編なのか。「大佐に手紙は来ない」の大佐といい、「この村に泥棒はいない」のダマソといい、グダグダと理屈をこねて自分から働こうとしない男二人にウンザリしつつも、この短編の描かれる村で、まるで洗濯物を外で干しながら事件を目撃したような、妙なリアリティを得る2017/03/05

harass

53
この作家の代名詞マジックリアリズムを駆使しているのは、表題作だけだった。時空を超える表現は文章のみの醍醐味。人間の生活を容赦なく描写する、この元ジャーナリストの観察力と筆力が根底にあるので、マジックリアリズムは威力を発揮するのだろう。読んでいて思い出したが収録されている『最近のある日』は、筒井康隆のエッセイで内容を知っていたものだった。かつての政敵だった歯医者に、化膿した歯を診察してもらう村長、というもの。短編のお手本のように、瞬間を鮮やかに魅せつける作品ばかりだ。ぶった切られるような印象がある。2016/02/09

こばまり

51
【再読】中上健次読了からムード高まりしばしマコンドの旅人となるも、「とことん泣けるように塩とレモンをぶっかけてやりなさい」などという台詞に改めて気付き楽しくなってしまいました。どなたか私に塩とレモンを。2015/10/11

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