内容説明
彼女はミツコ。私立薔薇十字女子大英文科在籍中。名高い香水と同じ名前を持つ女―。その盲腸の手術痕がうずく時、不埓なやつらに公衆道徳の鉄槌が下る。強力倫理観と超人的能力をあわせ持つスーパー学生ミツコは今日も行く。荒廃する現代社会を憂うすべての市民、まっとうゆえに切歯扼腕している老若男女必読。文学のジャンルを超越した傑作小説。21世紀はミツコの時代だ。
著者等紹介
姫野カオルコ[ヒメノカオルコ]
1990年、『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー。以降『喪失記』『変奏曲』『受難』『整形美女』『サイケ』など幅広い作風の小説を刊行
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感想・レビュー
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shizuka
58
ミツコみたいな地味でありつつ不愉快な「悪」をぐわっと成敗してくれる人がいたら、ああ、いいな。ミツコもミツコですごい変わり者ではなるけれど、道徳的な善悪に対しては敏感すぎるほど敏感で許せない質だから、付き合うのはしんどいとしても色々な事に対して、溜飲が下がることは多くなるだろうな。どちらかと言うと私も車内マナーなどピキピキってきちゃうんだよな。やってる人に憤るではなくて、それに対して誰かの怒りが爆発するんじゃないかという恐怖でいても立ってもいられなくなるんだけれど。ミツコがいてくれたら平和になるなー。2017/04/04
パンダプー
26
再読。姫野先生の作品のデビュー作。姫野先生の初期作品『空に住む飛行機(改題・ドールハウス)』とミツコのあまりの作風の違いに当時驚いた。でも、姫野先生が言いたいことの根源は同じとも思ったのだ。 家にある、当時版を読み直したけど、時代背景古くても苦痛なく読めた。2023/09/17
ふみ
26
的確すぎてピントをはずすミツコさん。時代背景が古いけど、リアルタイムでリアル世代が読んだら かなり笑えたんじゃないかな。おもしろかった。2016/03/17
みらこー
22
姫野さん2冊目。もっと笑える本があるのではと気になって一気にデビュー作!30年前の本。ど田舎から東京の大学を受験し第3希望の薔薇十字女子大に入学したミツコの4年間のお話7短編。当時の社会で何故か「当たり前」となっていたが今考えたらかなりおかしな人たち、ミツコが怒ると盲腸の傷が疼き超能力を発揮して成敗してゆくワンパターンモノやけど…マニアックネタがふんだんにぶち込まれてて我々「共通一次」世代、アラフィフ世代には爆笑ものと思われますが、如何せんマニアック過ぎるところは受け入れ層は広くはないかな。おれは爆笑派。2020/11/09
にゃんこ
16
「祝! 直木賞受賞!」 帯にデカデカと書かれた文字。 推薦文とか、有名人の感想とかは一切ナシ。 ただ、「祝!直木賞受賞!」 …それぐらいしないと、表紙のインパクトに見劣りするかなーと、私は思います(^^;; この、潔いまでのシンプルな表紙、書店でもかなり目立ちます。 そこで、まずは「つかみはオッケー♬」じゃないかと(笑) 中身も、負けず劣らずの強烈インパクト‼ 内容もそうだけど、点描だったり、大文字になったり、横文字、囲み、果ては物理まで…! かなり、手の込んだデビュー作ですね(^ ^)2014/03/25