集英社新書
廃墟の美学

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201864
  • NDC分類 704
  • Cコード C0270

内容説明

本書は、廃墟が歴史的にどのように登場し、時代と場所の違いに応じてどのような変容をかさね、いかなる人物が廃墟概念の成立にかかわってきたのかを、詳細に考察していく。廃墟の視覚的表象を中心に、関連するさまざまな言説を分析しながら、廃墟の本質を明らかにする。著者の廃墟論の集大成であり、知的刺激にみちた「廃墟の表象史」、廃墟学入門である。

目次

1 没落のヴィジョン
2 モンス・デジデリオあるいは建築の狂気
3 ピクチャレスクの円環
4 ピラネージの世紀
5 廃墟趣味と断片の美学―サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアム
6 廃墟のトポス
7 補論としての私的文献案内

著者等紹介

谷川渥[タニガワアツシ]
1948年生まれ。国学院大学文学部教授。東京大学卒業後、同大学院博士課程修了。専攻は美学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

14
なぜ廃墟が美しいのか、ということだけを書いた本ではない。むしろ、美術史の中で廃墟というものの美はどのように見出されてきたのか、を主題とした美術史であり、廃墟について今考えるための前提を駆け足で上っていく静謐だが気合の入った論考だ。没落と崩壊感覚、「絵に描いたような」ピクチャレスク風景への廃墟の回収、廃墟の中にある現在と過去と未来の往還運動…数々の画家を辿りながら廃墟にまつわる感性の形成を探求し分かりやすい本ではないが密度が濃い。難点は壮大な廃墟を描いた図版が白黒であまりに小さく、ネットとの併用必至なところ2016/08/26

9
廃墟を巡る言説や図像を辿りながら、そこに流れる美学を浮き彫りにしていく1冊。バベルの塔の逸話や、大洪水などに代表される原始的な終局のイメージから、9.11まで。扱われるモチーフは多岐にわたる。ピクチャレスク美学(と崇高)、ピラネージに一章が割かれているのは当然のこととして、モンス・デジデリオに一章が割かれているのは著者のバロック趣味のなせるところか。白黒で小さいながらも図版は豊富。読者は視覚的にも、廃墟というトポスの周りを巡る豊かな想像力の軌跡を辿ることができる。2022/04/05

アルクシ・ガイ

6
サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアムに行きたしと思えど、ロンドンはあまりに遠い。せめて廃墟写真集を買うか(か、借りるか苦苦苦)2016/10/23

misui

2
「動態としての廃墟が静態への廃墟へと移行し、そして廃墟が断片化してコレクションと化す」…本書の文献案内と著者監修の『廃墟大全』も併せて。2024/02/27

takao

2
ふむ2022/11/20

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