集英社新書
私の体験的ノンフィクション術

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201178
  • NDC分類 070.16
  • Cコード C0295

内容説明

新世紀になろうと、IT時代に突入しようと、人間が生きるうえで調査し、情報を集め、それらを評価して自分のものとする道筋に大きな変化はない。ノンフィクションの方法とは、ある意味で、社会に生きるうえで必要なそれと驚くほど似ている。私淑する民俗学者・宮本常一の「野の取材学」を導きの糸に、節目節目の自作を振り返って率直に検証し、そこに込めた思いを語る。著者がすべての「歩き」「見」「聞き」「書く」人に向けて初めてまとめた、「自伝の面白さ」の文章・取材・調査論。

目次

第1章 あるく調査術、みる記録法
第2章 語り口と体験
第3章 仮説を深める
第4章 取材から構成、執筆へ
第5章 疑問から推理までの道のり
第6章 現代の民俗学をめざして

著者等紹介

佐野真一[サノシンイチ]
一九四七年東京生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社、業界紙勤務を経て、ノンフィクション作家に。一九九七年『旅する巨人』で第二八回大宅壮一ノンフィクション賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

14
ノンフィクション作家が自らの仕事を語る。これまでの著者自身の経歴や実際の仕事のやりかたを語っている。敬愛する民俗学者宮本常一のように「足で書く」ことを心得ているのだという。資料集めや取材方法なども詳しい。これまでの著作の手法と狙いやこぼれ話などがある。語られている作品ですでに読んでいたのがあって、それらの手法や狙いを知るといろいろうなずける個所が多い。ただまあ個人的に著者の作品の言い回しに食傷気味な感があるのだが。新書にしてはちゃんとした構成と内容で楽しめた。2014/03/29

浅香山三郎

11
佐野眞一氏の仕事の流儀・矜持を披瀝した本であると同時に、しぜんノンフィクション作家としての自伝的なものでもある。 昭和史の巨人を追ふ大部な評伝や、東電OL事件、本を巡る現況を論じたもの、宮本常一の評伝など、佐野さんの仕事は多岐にわたる。これらは私も読んだが、『遠い山びこ』、『日本のゴミ』、『業界紙諸君!』などの系譜のものはまだ読んでゐない。本書を読んで、「あるく調査術、見る記録法」を駆使した面白さの一つの極みはかういふ作品に滲み出してゐるといふ感をうけた。2021/01/29

つちのこ

3
ノンフィクション術と題するだけあって、著者が取り組んできた作品群の一つ一つを、テーマの選定から構成、仮説の重要性、発想法、執筆のポイントに至るまで細かく解説している。 「ノンフィクションの要諦は…」という言葉が鼻につくが、時代の流れや著者の心境の変化、作品との係わり度合いによっても、折々に“要諦”の定義が変化していくようだ。 最後まで読んで納得するが、著者にとってのノンフィクションの要諦は、宮本常一の教え、「あるく」「みる」「きく」旅を続け、「記録する」ことに尽きるようだ。(2002.1記)2002/01/30

comajojo

2
民俗学を視野に入れながら(主に、宮本常一について考察)、幼年期からの体験や、取材から執筆にいたるまでの道程を見つめるすることで、ノンフィクションの方法論を考える。振り返られる著作は『巨怪伝』や『東電OL殺人事件』、『遠い「山びこ』など。文章を書く際には、井上ひさしがいう「難しいものを易しく、易しいものを深く、深いものを面白く」を気をつけるべきだが、達成するのは難しい。佐野の方法論はこれを克服する試みであるとともに、過去から現在を、そして未来を見据える試みでもある。まさかこんな本が新書で出ていたとは・・・も2009/07/19

Naota_t

1
★3.4 二重の意味で面白かった。①仕事柄、誰かに取材をすることが多いが、ノンフィクション作家なりの取材とは何たるか、が参考になった。役に立つ知識や情報をまず相手に伝える。(p27)、相手に話の流れを作らせる(p48)②ノンフィクションの面白さを再発見できた。『東電OL殺人事件』『カリスマ』などを手掛けた徹底した現場取材は、それ自体が小説になりうる、さながらミステリー小説並の面白さだ。細木数子の例も面白い。彼曰くの最重要要素とは、自分だけの視点を持つ、独自の切り口を見つける、埋もれていた人物を発掘する。2020/11/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16924
  • ご注意事項