内容説明
賢治が生まれ育った岩手県は、民俗芸能の宝庫だ。鬼剣舞や鹿踊り、チャグチャグ馬コなどの民俗芸能・祭礼行事が今もさかんにおこなわれ、多くの伝説や昔話が語り伝えられている。それらは、賢治が描いた童話や詩のなかに、いろいろな形で影響をあたえている。本書は、鹿踏りや隠し念仏、さらに『遠野物語』の佐々木喜善との交流など、民俗学の視点から宮沢賢治の世界を読み解いてみせる。イーハトーブ(岩手)に生きた天才詩人の、原風景となった風土からの斬新な報告である。
目次
第1章 イーハトーブ・ふぉくろあ事始め
第2章 蝦夷の末裔、賢治が鬼神を招く
第3章 法華経と庶民信仰とのはざまで
第4章 賢治と隠し念仏
第5章 賢治と啄木とチャグチャグ馬コ
第6章 佐々木喜善と賢治