出版社内容情報
殊能 将之[シュノウ マサユキ]
著・文・その他
内容説明
もはや古典とも評される『ハサミ男』を皮切りに、傑作長篇ミステリを生み出してきた殊能将之は、二〇一三年二月、急逝した。本書に収められた三つの短篇は没後に発見されたもので、ミステリ作家・殊能将之の出発点とも言うべき作品である。『ハサミ男』誕生の経緯を語った「ハサミ男の秘密の日記」同時収録。
著者等紹介
殊能将之[シュノウマサユキ]
1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。2013年2月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナルピーチ
164
故・殊能将之によって遺された未発表短篇作3作品と、代表作となった『ハサミ男』の裏話的な要素を描いた1篇を収録した一冊。“暇潰しに書いた”と言われる短篇3作はどれも完成度が高く、「犬もこわい」では犬嫌いな主人公の前に降り掛かる災難をユーモアに描き、「鬼ごっこ」ではハードボイルドな展開から終盤になって分かる終焉なき世界感を堪能。「精霊もどし」にはホラーを交えながらも、現実と非現実的な世界を見事に融合させている。新たな作品が読めないのは残念でしょうがないが、殊能先生がこれまでに遺した作品を大事に読んでいきたい。2022/11/30
yukaring
81
『ハサミ男』で有名な殊能将之の没後に発見された未発表作3編。本人曰く「暇潰しに書いたもの」と書き残しているらしいが、どれも発想が面白く先の読めない展開が斬新。特に『犬がこわい』がお気に入りでまさかの展開にはビックリ😲帯やあとがきにも書かれているが、本当に素晴らしい才能の持ち主で本当に惜しい人を早くに亡くしたと残念に思う。最後に収録の『ハサミ男の秘密の日記』は『ハサミ男』がメフィスト賞を取ってからの出版社とのやり取りや身内の反応、自分のちょっと惚けた言動などが日記形式で語られるユーモア溢れる内容が楽しい。2022/09/22
雪紫
81
「ミートパイ食べたい(この本にミートパイは出ていません)。」殊能さん没後に発見された3つの短編小説とハサミ男出版までのあれこれ日記を収録。SF(少し・フシギ)で何処か狂った世界。短編は「犬がこわい」がまともだけど一番好きかな。奥さんとのやりとりとか。「ハサミ男の秘密の日記」は姉一家とのやりとりがいい。裏話が明らかになるとともに周りが個性豊かなひと達で。ああ、亡くなってもう、9年か・・・。2022/08/10
のり
71
「殊能将之」の作品をまた読めるなんて思っていなかった。先日、読友さんのレビューで知った一冊。デビュー前の3話+ハサミ男の秘密の日記というエッセイ風の作品。解説を含め、謎めいた殊能将之を知れた感じがした。派手な印象はないが、原点と言える3話全てが良かった。改めて早逝した事が残念でならない。2024/03/09
よっち
63
「ハサミ男」を皮切りに長編ミステリを生み出しながら2013年2月に急逝した作家・殊能将之。没後に発見された3つの未発表短編などが収録された初期作品集。犬が怖い男が娘に犬を買いたいと言われる話の顛末、登場人物がゲーム感覚で追いかける鬼ごっこ、主人公にだけ見える友人の奥さんを綴った3つの短編、ハサミ男誕生の経緯を語る「ハサミ男の秘密の日記」を収録。なかなかシュールな構図もあって興味深く読むことができましたが、これを読んでいて改めてこの著者さんの新作はもう読むことができないんだな…としんみりとしてしまいました。2022/09/20