講談社学術文庫
美術という見世物―油絵茶屋の時代

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  • サイズ 文庫判/ページ数 344p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062920216
  • NDC分類 702.15
  • Cコード C0121

内容説明

なぜ仏像は日本美術を代表する彫刻作品になったのか?この問いに答えるために、細工師、油画師、彫刻師たちが活躍した幕末・明治の見世物小屋を訪れるところから始めよう。粋な口上とともに陳列されるは、生人形、西洋目鏡、写真掛軸、写真油絵、戦場パノラマ…。文明の衝突!?が生んだ「奇妙な果実」を検証し、美術周辺の豊饒な世界を再評価する。

目次

第1章 石像楽圃―夫婦か知らねど匹付合
第2章 手長足長―活ける人に向ふが如し
第3章 胎内十月―色事は何処の国でも変りやせぬ
第4章 万国一覧―洋行せずして異国を巡る奇術
第5章 油絵茶屋―みるは法楽みらるゝも衆生済度
第6章 パノラマ―人造ニナリテ天設ヲ欺ク奇奇怪怪
第7章 写真油絵―写真ニシテ油絵油絵ニシテ写真
第8章 甲胄哀泣―油絵ハ能く数百年の久しきを保つ者なり
第9章 写真掛軸―之を眺むるに風韻雅致を極め

著者等紹介

木下直之[キノシタナオユキ]
1954年生まれ。東京藝術大学美術学部卒業、同大学院で美術史学を専攻。兵庫県立近代美術館学芸員を経て、東京大学教授。専門は、文化資源学。サントリー学芸賞、重森弘淹写真評論賞、芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kana0202

2
名著。品切れなのが残念。美術や美術館が、胡散臭いものであるという認識が大事。2023/06/26

Meroe

2
江戸の文化が「美術」や「油絵」「写真」「彫刻」と出会って、生まれたもの、そして消えていったもの。「所が、その博覧会といふものが、まだ一般其頃の社会に何んのことかサッパリ様子が分らない。実にそれはをかしいほど分らんのである。今日ではまたをかしい位に知れ渡ってゐるのであるが、当時は更に何んのことか意味が分らん」(高村光雲)の、「当時」。思弁よりも、現物や証言にこだわる。こういう仕事がしたいと心から思う。2011/07/19

yui

1
幕末から明治の日本が美術とみなさなかったものは、浮世絵だけではなかった。見世物小屋で展示されてきた数々のものー生人形、眼鏡絵、パノラマなどを著者は丁寧に紐解く。日本近代美術の中には組み込まれることはなく、それでも近代美術形成の基礎となったものが数多くあることがわかり、驚いた。また美術館と見世物小屋にも言及していて、「ものを展示」するという点ではあまり違いのないこの二つの場所の関連性を指摘している。軽快な文章と詳細な注釈で楽しく読めた。2013/06/09

onepei

1
この先生の研究テーマは大好きです。2011/02/23

白石 博子

0
日本では肖像画は一般的ではなかったが、戦死した息子の肖像を座敷に飾るようになって定着したという話が印象に残った。そんなところにも戦争の影響があったんだな。2023/11/04

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