講談社・文学の扉<br> ブルーとオレンジ

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講談社・文学の扉
ブルーとオレンジ

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  • サイズ B6判/ページ数 226p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062832304
  • NDC分類 K913
  • Cコード C8093

出版社内容情報

「ぼくはピラミッドの下のあたりにいる人間なんだ。」現役教師が描く、痛いほどリアルな教室内カーストと、その解決への確かな希望!「いいかえしたいことが山ほどあった。でもいえなかった。心の中で考えたことは、いざ口から出そうとすると、どこかに吸い込まれていくんだ。ビューンてね。それに、八木沢くんが、ぼくの話を聞いてくれるはずがないってことはもうわかってた。だってさ…ぼくはピラミッドの下のあたりにいる人間なんだよね。─中略─ぼくの武器って、いったいなんなんだろう?そのときぼくはまるでとりつかれたみたいになって考え始めてた。自分の身を守ることができてさ、できるならこれ以上嫌な目にあわなくてすんでさ、いろんなことに立ち向かっていけてさ、まあ、そこまでぜいたくはいわないけど、とにかく今よりは過ごしやすくなるような武器。」──ブルーの章より

「だって、クラスのなかでの峰岸さんの存在っていうか影響力はすごいもん。みんながみんな、いつも彼女の顔色をうかがってるんだからね。こんなのって、以前はなかったと思うなあ。でも高学年になってみて、気がつけばそうなってたの。力関係が決まってしまったっていうか、そうなったらもうなかなかさからえないっていうか……。─中略─『ねえ、お姉ちゃんさ。うちの武器ってなんだと思う?』『あるよ、あんたの武器。すごいのが。知らないの?』」──オレンジの章より

小五の”ぼく”はクラス内の上下関係を敏感に感じ取りながら、何とか平穏にやりすごすことのみを心がけて、嘲りのようないじめに日々耐えていた。
そんなある日、クラスの男女で観戦していたサッカーの試合中に監督が言った、「自分の武器は何か、考えろ」、という言葉が頭に残る。そして、自分の武器を発見した”ぼく”は見事にカーストの下克上に成功するのだが・・・。
一方、同じクラスの”うち”は明るい世渡り上手な性格で、クラス内のちょっと嫌な雰囲気の力関係の中でも無難に毎日を過ごしていた。だが、ある女の子へのいじめをどうしても見過ごせず悩み、やはり同じサッカーの監督の言葉を聞いていた”うち”は自分にできることは何か、真剣に考える。
スクールカーストといじめにさらされている子どもたちの姿が痛いほどリアルに描かれている。人間の上下関係が生むどうしようもない理不尽さに立ち向かい、戦う勇気を与えてくれる衝撃作。

ブルーの章
オレンジの章


福田 隆浩[フクダ タカヒロ]
著・文・その他

内容説明

小五の“ブルー”はクラス内の上下関係を敏感に感じ取りながら日々のいじめに耐えていた。そんなある日、皆で観戦していたサッカーの試合中に監督が言った、「自分の武器はなにか、考えろ」という言葉が頭に残る。そして、自分の武器を発見した“ブルー”は見事カーストの下克上に成功するのだが…。一方、同じクラスの“オレンジ”は世渡り上手で、カーストの中間層として無難に毎日を過ごしていた。だが、ある女の子へのいじめをどうしても見過ごせず、やはり同じサッカーの監督の言葉を聞いていた“オレンジ”は自分にできることはなにか、真剣に考えるように…。現役教師が描く子ども目線の教室内カースト。「いじめを生む空気」に立ち向かい、戦う勇気を与えてくれる衝撃作。

著者等紹介

福田隆浩[フクダタカヒロ]
1963年生まれ。兵庫教育大学大学院修了。長崎県の特別支援学校勤務。『熱風』で、第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞。その他第60回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選ばれた『ふたり』(以上講談社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すみの

26
仲間はずれされるブルー編と傍観者オレンジ編。クラスに階級社会ができ、その日の気分に左右され、自分の気持ちが一番のリーダー格を頂点に、当たらず触らずの傍観者、そして無視され侮蔑の対象となる底辺層。ブルーがこれじゃいけないと自分で変わろうとした勇気を称えたい。そして傍観者の自分を恥じ、友のために行動を起こしたオレンジにも拍手。このふたりに助言する母や姉、そして自分を見つめ直すきっかけとなった「武器」という言葉があって良かった。理解し易い文体なので小学生にも向いていると思う。2014/09/23

tan

24
今年の夏は児童書をたくさん読みましたが、この本が一番心に残りました。「いじめ」がテーマの本は色々ありますが、あまり痛々しい描写ではなく、かといって簡単にさらっと流しているわけでもなく、程よい表現で読後も嫌な感じが残りませんでした。ただ「ブルーの章」ではブルーの本名を伏せていたのになぜ「オレンジの章」で「森田」と出したのか不思議です。表紙絵がちょっと子供ウケしないような微妙な絵なので子供が自ら手にとってくれるかどうか分かりませんが、ぜひ読んでもらいたい本ですね。2015/08/19

すんちゃん

16
仕事での読書と趣味の読書は線を引きたかったので、今まで児童書は登録していなかったのですが、やはり読書は読書なので今後は登録していきたいと思います。“あの人には逆らわない方がいいな”とか、“ここはみんなと同調しとく方がいいな”とかいう空気は、学校に限らず職場にもありますよね。結果、自分らしさが失われ、ストレスが溜まる。そのストレスをまた誰かにぶつける。完全な悪循環。私ならブルーと同じ様な行動を取るかな。オレンジのような真っ向勝負は怖いです。いじめを題材にしている割にはさらっと読める作品でした。2015/06/25

星野

13
最初あたり、読み進めるのが何だかとてもきつくてしんどかった。いじめのあるクラスの少年少女、ブルーとオレンジが主人公で、語り口調が淡々として乾いているのに、このやるせなさは何だろう。きっと、現代のリアルすぎるのだ。冷めた視点が、リアルすぎて痛いのだ。ラストに少しの希望が見えて、ほっとした。2014/12/19

刹那

12
次男の朝読用に借りてきました✯2018/01/20

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