講談社文庫
戦国鬼譚 惨

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  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062773942
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

権力に翻弄された人間の、えげつなく愚昧な騙し合い。巧みな仕掛けの中で人間の本性を浮き彫りにさせた歴史ファン垂涎の大傑作集。人を欺けば謀(たばか)られ、人を信じれば殺される。木曾谷(きそだに)の治世をめぐり反目する木曾家当主の義昌と弟の義豊。武田に殉じるか織田へ寝返るか――谷間に常と変わらぬ春が訪れたとき、兄弟は慟哭の中で身悶えしなければならなかった。武田家滅亡が招いた鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)を活写し、極点での人間の本性を炙り出した傑作戦国絵巻5編。

●木曾谷の証人
●要らぬ駒
●画龍点睛
●温もりいまだ冷めやらず
●表裏者

※本書は2010年5月に小社より刊行されたものを加筆、修正したものです。

木曾谷の証人
要らぬ駒
画龍点睛
温もりいまだ冷めやらず
表裏者


伊東 潤[イトウ ジュン]
著・文・その他

内容説明

人を欺けば謀られ、人を信じれば殺される。木曾谷の治世をめぐり反目する木曾家当主の義昌と弟の義豊。武田に殉じるか織田へ寝返るか―谷間に常と変わらぬ春が訪れたとき、兄弟は慟哭の中で身悶えしなければならなかった。武田家滅亡が招いた鬼哭啾啾を活写し、極点での人間の本性を炙り出した傑作戦国絵巻5編。

著者等紹介

伊東潤[イトウジュン]
1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じ、歴史小説や歴史に材を取った作品を相次いで発表している。『黒南風の海 加藤清正「文禄・慶長の役」異聞』で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」を受賞。『戦国鬼譚 惨』で、第32回吉川英治文学新人賞候補、『城を噛ませた男』で、第146回直木賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

岡本

112
信玄没後の武田家をテーマにした短編集。滅亡に向かう武田家を描くだけあってバッドエンドの勢揃い。英雄譚にある連戦連勝出世物語や、戦国転生モノに定番の知識チート繁栄モノとは全く違う戦国時代の生々しいリアル。彼らが一致団結し、勝頼の失策が無い武田家を見てみたいばかり。著者の「武田家滅亡」「天地雷動」と併せて読みたい一冊。2019/06/06

とん大西

107
行くも地獄、退くも地獄…。崩れゆく名門武田家。悲劇の主人公は棟梁・武田勝頼だけではない。国境を守る土豪・国人衆の分岐点。お家の為か領民の為か、いや、親愛なる者の為か。裏切るつもりが逆に裏切られ、信じていたのに裏切られ。憎悪、情愛、思慕、あさましさ…それぞれがそれぞれの事情をかかえ、悩み、断を下す5編の戦国譚。一話重ねるごとに重く沁み入ってくる人間の業に読み応え大。とりわけ『木曽谷の証人』は地方豪族の悲哀が切なすぎて…。2020/02/24

あも

95
まさに人間世界の悲惨!目を背けたくなる程の剥き出しの惨を突きつける名短編集。滅びに向う武田家と織田家の狭間で揺れる小勢力や武田家臣の苦悩を活写する。家族も領民も全てを守りたい。されど、それが許されない時代、叶わない立場。1話目の武田勝頼に老母と幼い子供達を人質にとられ、裏切り=処刑と知りながら、領土と領民を守るためには織田に寝返らねばならない木曽兄弟の板挟みの苦悩に胸が苦しくなった。謀略と猜疑に塗れ、嘲りの中に斃れるもののふ達。そんな中だからこそ、仁科信盛が見せた愛する者への"信"の華が殊更艶やかに咲く。2019/02/07

藤枝梅安

47
「鬼」と「惨」、非常に重く暗いタイトル。高天神城を失い、長篠で敗れた武田家の滅亡への転落の過程を、武田領と織田領の辺境の武士団のそれぞれの事情と苦悩を織り交ぜて綴った5編。南信州の武士団の苦悩については、岩井三四二さんの作品でも読み、イメージをつかんでいたため、この小説もすんなり入ってきた。「義を貫く」か「保身」か。領民のために武家の「義」を捨てることの難しさ。保身を「領民のため」と誤魔化す武家の姿。組織が瓦解するときはこういうものなのだろうという、現代社会にも通じる「鬼譚」である。2013/07/04

キムチ27

35
鬼哭啾々‥漢字そのものが映像化された熟語だ。この詞に酔い、戦国モノを漁った時期もあった。久しぶりに水墨画風、どす黒く、刃のふれあい音が聴こえる作品を読めた。戦国時代、信濃一帯が舞台。中期から後期に移って行く時期、武田・織田の傍系と家臣が生き残りをかけて血族すらも血祭りにあげて行く。権謀術数がちぢに乱れ、生き残りをかけた挙句、滅亡にいたる様がまさに「冷たい風が累々とした屍の上をびょうびょうと吹く様」を感じさせる。短編5話は緩やかにリンクしており、生きる、生きたいという人の性を哀しく読ませる。2014/12/23

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