出版社内容情報
文化勲章受章記念 あの名訳がついに文庫化スタート!
美しい現代語ですらすら読める――初めてわかる面白さ!
史上最高の恋愛小説
誰もが憧れる源氏物語の世界を、気品あふれる現代語に訳した「瀬戸内源氏」。文学史に残る不朽の名訳で読む華麗なる王朝絵巻。巻一では、光源氏の誕生から、夕顔とのはかない逢瀬、若紫との出会いまでを収録。すべての恋する人に贈る最高のラブストーリー。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
250
与謝野晶子訳は読んだことがあるんですけど、寂聴さん訳は分かりやすい。和歌の現代語訳もあって、そのお洒落さや絶妙さもよく分かります。この巻では、光源氏が自らも認めるプレイボーイぶりやら、雨夜の品定めやら、若さゆえのスケベ心溢れる姿を楽しめます。良いことばかり書いていると、物語がいかにも作り事だって言われるから、仕方なくぶっちゃけちゃいましたみたいに、紫式部も書いてます。そして、すでに明石の君の噂話が出て伏線が張られるなど、エンタメ性がスゴいです。2022/07/31
とも
84
今年の1冊目。 言葉を調べながらで時間がかかった。 さすがに読み継がれているだけあって、すごいと思う。 ゆっくり10巻まで読んでいこう。2022/01/01
優希
83
丁寧な言葉でつづられているので、優雅な雰囲気を感じました。「若紫」までの物語までということもあり、まだ物語は序章だと思います。所々に出てくる和歌が美しい。光源氏がすぐ恋を演じてしまうのが気になります。それでも、落ち着いた雰囲気が流れていて続きが読みたくなりますね。2019/03/27
さと
54
高校時代 冒頭部分を暗誦するように言われ、ただ機械的に覚えたのだが何十年の時を経てもなお、欠けることなく記憶の隅にある。寂聴さんの訳はとても読みやすく、自分が連ドラを見ているかのような感覚を覚える。漫画やドラマに頼ろうと思わなかったのは、自分の心の中で自ら“役者”を育てていきたかったからだろうと思う。今 光源氏は、高いプライドに身を包むものの、それでいて繊細で母性を求めずにはいられない、ナニモノにもなり切れないような脆さも露呈するように見える。彼によって“発掘”されていく女性も楽しみ。2022/11/30
たーぼー
53
桐壺から若紫の五帖まで。源氏の君の行動原理はレールに敷かれた束縛を逃れ、禁断の世界に足を踏み入れたくなる男の願望を清々しいまでに体現しているが、彼自身が持つあやかしにも似た魅力に周囲が幻惑されている部分もあるのだろう。まずは『帚木』における頭の中将らを交えての『雨夜の品定め』で繰り広げられる恋愛論は、まさに野郎だけの飲み会のノリで楽しい。一方で夕顔の亡骸の前では激しく狼狽し、そこに純な少年の姿を見るのだ。寂聴さんの筆致は柔そのもので、これなら肩の力を抜いて魅力あふれる宮中におわす人々の絵巻を楽しめそうだ。2015/10/09