出版社内容情報
宮部 みゆき[ミヤベ ミユキ]
著・文・その他
内容説明
「俺、ここでいったい何をやっているんだろう」。江戸・深川の鉄瓶長屋を舞台に店子が次々と姿を消すと、差配人の佐吉は蒼白な顔をした。親思いの娘・お露、煮売屋の未亡人・お徳ら個性的な住人たちを脅えさせる怪事件。同心の平四郎と甥の美少年・弓之助が、事件の裏に潜む陰謀に迫る「宮部ワールド」の傑作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
317
いやぁ良かった!長屋のぼんくら役人平四郎は怠け者で面倒くさがり、でも実は思いやりがあって他人から好かれるし頼られる。ま、自分では気付いてないけどね。上巻で見え隠れする謎が徐々に明らかになっていくのだが、都度読者の想像は裏切られる!無理クリでなく自然に!さすが宮部みゆき!登場人物のキャラ付けが最高。そしてぼんくら平四郎の心の声も最高!長屋の人たちの人情と、何よりお徳さんの気っ風に惚れます❗誰一人として脇役の扱いがなく我々読み手に長屋の暮らしぶりを映像で浮かばせる!すごい!宮部さんのお薦め時代物教えて‼️🙇2019/02/06
yoshida
313
真実が明らかになる。伏線が見事に回収される。宮部みゆきさんは人間の心の闇、因果を描くのが本当に上手いと思う。現代物でも時代物でも同じ良さですね。平四郎が屋形船で湊屋総右衛門と会い、総右衛門の告白がなされる場面が特にぐいぐい読ませる。総右衛門の身勝手により、沢山の人々が不幸になり命を落とす者もいる。総右衛門の妻のおふじの憎悪と、二人の夫婦関係に恐ろしさを感じた。人の心の闇だけでなく、鉄瓶長屋の人々や弓之助とおでこのやり取りも温かく良かった。これから、「日暮らし」、「おまえさん」を読んでみよう。名作ですね。2015/09/18
レアル
147
上巻の短編が下巻で一気に繋がる。宮部さんのミステリは最高だし、時代物の方が私は好き。平四朗、弓之助、おでこのキャラは良いし、お徳の女気は文句なし。次は『日暮らし』を読んじゃう。2013/02/26
ちょろこ
143
下巻の一冊。それぞれの賢さが集まって一つの真相へ向かう下巻。何でも計ってしまう弓之助、なんでも記憶してしまうおでこと、宮部さんの描く子供たちは魅力的だ。そして上巻からじわりと溜まっていた平四郎、お徳さんの魅力が下巻ではじけた。数々のニクい言葉が胸に沁みる。そう思うなら、それでいいなら、それでいい。という心づかい。わざわざ陽の光のもとに晒す必要のないという心づかい。これぞ宮部さんの描く人情。最終章のお徳さんが実に気持ちよく、きっぷよく、物語に別れを告げさせてくれた。鉄瓶長屋、涙と笑いの思い出をありがとう。2022/10/06
かずよ
138
面白い、はやりおでこと弓之助が可愛くて、すぐに「日暮らし」読みたくなりました。 2011/11/22