内容説明
在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦“いそかぜ”は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った“楯”が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。
著者等紹介
福井晴敏[フクイハルトシ]
1968年東京都生まれ。千葉商科大学中退。1997年、警備会社に勤務する傍ら初めて応募した作品「川の深さは」が、江戸川乱歩賞選考会で大きな話題になる。翌年、本作で第44回江戸川乱歩賞を受賞。2000年『亡国のイージス』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koba
121
★★★★★ ^_^2014/02/22
miyumiyu
98
在日米軍基地で起こった未曾有の大惨事をきっかけに、国家間の策謀に巻き込まれた護衛艦「いそかぜ」。宮津、仙谷、如月、溝口から目が離せない。最初のほうは難しい専門用語の説明が多く、遅々として進まなかったが、航海が始まってからは息をもつかせないノンストップ。「よく見ろ、日本人。これが戦争だ」の言葉に戦慄が走る。「あんただけには信じてもらいたかった」と言って消えた如月の行方は?急いで下巻へ。2017/09/23
たきすけ
87
「守るべき国の形も見えず、いまだ共通した歴史認識さえ持ちえず、責任回避の論法だけが人を動かす。国家としての顔を持たない国にあって、国防の楯とは笑止。我らは亡国の楯。偽りの平和に侵された民に、真実を告げる者。」福井氏の本は「戦場のローレライ」以来久々となりましたがノンフィクションに肉薄した設定が重厚なストーリーラインを支えていて、今回もとても興味深く読み進める事が出来ました。個人的醍醐味はやはり人間関係のやりとりで、命をかけた信念・憎悪・愛が絡む登場人物達のやりとりは何か心揺さぶられるものを毎回感じます。2016/05/02
ミカママ
87
あまりの登場人物の多さと、内容の難しさに七転八倒しながらやっと読み通す。こういう作品は映画を先に観ちゃったほうがいいかも。そうすればなじみのある役者さんたちが勝手に、作品中セリフを言ってくれるだろうし。誰が善人で誰が悪人なのかがどんでん返ししたのがうれしかった。上巻を読み終わった今、筋書きがある程度読めてきたので(ラスト、読者的にはどうなるのが理想的か)一気に下巻に行きます!2013/07/15
けい
84
主要な登場人物の生い立ちや家族関係、自衛隊への入隊の経緯を示す文章に多くのページを割く序盤、少しゆっくりとしたペースで進む。最新鋭艦「いそかぜ」に乗り合わせる誰ともわからいな敵と味方、上巻終盤の戦闘開始からストーリーがうなりを上げて急加速します。専門用語が各所に散りばめられ(苦手な方はやや嫌うかもしれませんが)解説に割く文章がスピード感を殺さず、逆に加速せていくように感じる所が上手い。面白くなってきた、下巻が楽しみ。2013/12/28