内容説明
明治・大正・昭和の天皇は、政治にどう関与したのか?昭和天皇はなぜ、田中義一首相を問責したのか?東アジアの国際環境のうねりの中で、変容していく日本の君主制。明治天皇の死から五・一五事件による政党政治の崩壊までを、日英比較を交え、さまざまな人々の生き様を通して描く。「倉富勇三郎日記」『牧野伸顕日記』「大正天皇実録」などから隠された事実を読み込み、新史料を駆使した意欲作。
目次
序章 一九二九年六月二十七日
第1章 大正政変
第2章 第一次世界大戦と日本の跳躍
第3章 原敬首相の信念―「秩序」の再生と漸進的改革
第4章 天皇と立憲君主制
第5章 改革のうねり―国際協調とデモクラシー
第6章 護憲三派内閣
第7章 北伐と御大礼
第8章 世界恐慌と立憲君主制の危機
終章 庶民文化と天皇
著者等紹介
伊藤之雄[イトウユキオ]
1952年生まれ。京都大学文学部史学科卒業、同大学大学院文学研究科修了、博士(文学)。名古屋大学文学部助教授等を経て、現在、京都大学大学院法学研究科教授。京都市市政史編纂委員会代表。1995年~97年、ハーヴァード大学イェンチン研究所・同ライシャワー日本研究所で研究。専攻は近・現代日本政治外交史
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
5
大正政変から五・一五事件まで。メディアの発達もあって対立の激化する政党政治と調停者として頼りない天皇によって生じた政治的空白で、軍部が国の方針を左右する存在に浮上する姿を描いている。興味深いのは「大帝」として理想化された明治天皇像が若き昭和天皇の言動を縛り付け、また軍部や国粋主義者にも今の天皇を軽んじる風潮を生んだとする点。「明治維新」という成功体験でがっちり結ばれた明治帝や元勲たちと違い、政府や軍部との信頼関係を構築できなかった昭和帝の孤独、またその中で存在感を増す宮中勢力の姿が印象的であった。2018/08/12
のん
1
明治天皇の崩御から五・一五事件までを、タイトルの通り「政党政治」と「天皇」の在り方を通じて描く。2024/04/26
ヴィクトリー
1
張作霖爆殺事件における昭和天皇の田中義一首相の問責、と言う政治への過度の介入と、それによる、公平な調停者としての信頼を失う昭和天皇。 当時の風潮で、理想化される明治天皇と比較されることでさらに信頼を失う事に。 明治天皇の立憲君主としての巧みな調停者としての像が、国民に広く知られなかったのはよいとしても、後継者や国政担当者である元老や政府枢要に伝わっていなかったのは全くもって大きな問題である。2010/02/26
R
0
明治天皇と原敬もすごい。2011/09/01
蕭白
0
ロンドン海軍軍縮条約批准の過程で蠢く政治の世界のドロドロがあったことを知り、今までの勉強不足を痛感。今の基準で計ってはいけないことは重々承知だが、浜口内閣も意外と・・・だったことを知り、さらにビックリ。2011/08/30
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- 和書
- 岩波講座応用数学 〈9〉