内容説明
十九世紀、ヨーロッパの食卓に未曾有の変動が起きる。植民地からの誘惑の味、コーヒー・砂糖。科学の福音、缶詰。テーブルマナーの洗練、美食大衆の誕生。食の近代化が変貌させたヨーロッパ人の心と体を追う異色の歴史。
目次
第1章 飢えからの解放
第2章 植民地の「恩恵」
第3章 食の産業化
第4章 変わる食習慣
第5章 イデオロギーとしての食
第6章 食の「民主化」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
18
図書館リユース本。近代の食卓の変化を多くの図版や資料を使いながら論じている。マナーの変遷や美食の誕生、食品工業の発達、まがいものや食中毒まで、多岐に渡って、興味深い。へーそうだったのと思う記述が多くて楽しめた。2016/10/22
メタボン
7
☆☆☆ 論説の展開がなかなか進まず正直読みにくかった。筆者も述べているようにタイトルは内容にそぐわないと思う。美食の歴史の著述を期待していたのだが、後半少しだけの著述。大航海時代の「スパイスの恩恵」が、胸躍る部分だった。コーヒーは自分が思っているより庶民のものだったことも発見。スタバはちょっと高いけれども、あの砂糖とミルクをふんだんに使った贅沢な味の魔力には敵わない。2014/12/05
Humbaba
6
正しいマナーを決めるのは、そこにいる人たちである。例え同じ土地であっても、マナーは変化する。他人の食べているものを奪わない、という大前提になるテーブルマナーを守れば、それ以外はその地方のマナーを順守する。他の食べ方を野蛮だと言って非難することこそが、最も野蛮なマナー違反であろう。2014/01/10
富士さん
4
再読。「何の素材を仕入れどのように調理するのか」「誰が作ってどのような形で食べさせるのか」「食べるという行為はどのようになされるのか」「何を食べるのがいいことなのか」。本書はヨーロッパ近代の食生活史であると同時に、“食”というものを歴史的、社会的に分析する際、どのような切り口がありうるのかを具体的に示してくれる名著です。他の地域の食生活史と読み比べてみると、本書での指摘が必ずしも普遍的なものではないように思います。しかし、このような中範囲の理論を積み上げていかないと、そのような齟齬すらわからないのです。2016/02/10
やっちん
3
歴史の中で味覚がどう変わってきたかという話を期待していたが、人口の増減やそれによる食糧難、食事の様式などの話が主でイメージと違った。タイトルは筆者ではなく出版社側の要望だったとあとがきにも書いてあった。ただ、勉強になる部分も多く読んでよかった。2014/08/24